一戸建て見学のチェックポイント
目次
一戸建てを見学するときに注意したいポイント
一戸建ての買主様の多くはインターネットやチラシなどを活用して希望する物件を絞り込み、その情報を扱っている不動産会社に問い合わせます。連絡を受けた不動産会社は買主様へのヒアリングを行い、よりご希望に近い候補物件を探したり、物件の見学をセッティングしたりします。 住まい探しを始めたばかりの買主様は、できるだけ多くの物件を見て回ることをおすすめします。そうすることで、一戸建ての物件を見るときのコツが身に付き、相場がわかってくるからです。
見学の前にやっておきたいこと
ポイント:ライフプランの確認
やみくもに見学して回っても、住まい探しは進みません。どの物件も魅力的に映ってしまい、結局は決断できなくなってしまうためです。そこで大切なのは、見学する前に買主様のライフプラン(生涯にわたる人生設計)を確認しておくことです。 ライフプランの確認のためにはまず、買主様の考えや好みに合った生活スタイルを思い起こし、そのスタイルが将来どのように変化するのかを考えます。そのとき忘れてはならないのが、家を購入する目的は便利さや資産価値の維持だけではなく、より豊かで快適な生活の実現であることです。そこを押さえておけば、物件の小さなポイントにこだわるあまり大きな方向性を誤る危険を低減させることができます。
ポイント:売却理由の確認
中古物件の場合、売主様が売却する理由を不動産会社からあらかじめ聞いておきましょう。住み替えなど売主様の事情による売却なら自然ですが、建物の使い勝手の悪さや周辺環境の問題が原因でマイホームを手放そうとしている可能性もあるためです。
ポイント:参加メンバーの確認
新築分譲住宅の場合、見学は販売会社の担当者と買主様のみで行われることもあります。中古物件の場合は売主様と、売却の依頼を受けた不動産会社の担当者、そして買主様、買主様から仲介依頼を受けた不動産会社の担当者が参加するのが一般的です。 もし買主様に小さなお子様がいるなら、一緒に見学に行かれるのもよいでしょう。お子様の低い目線で物件を見ると、大人では気付かない問題を指摘してくれることがあります。
場合によっては、後述の不動産コンサルタントや建築士に同行してもらうことも考えられます。
ポイント:持ち物の用意
見学の当日は物件周辺の地図や、寸法を測るメジャー、方角を確認するための方位磁石を持っていくとよいでしょう。また、自分の目で見て気づいた点や、売主様や不動産会社から聞いた情報をメモするための筆記用具も忘れないようにしてください。
見学のポイント
中古住宅を購入して暮らし始めてから物件の問題が見つかり、豊かな生活の妨げになることは避けたいものです。よく注意すれば見つけられる瑕疵・欠点であったにも関わらず、見学を簡単に済ませてしまったばかりに見逃したのでは、悔やんでも悔やみきれません。中古物件の見学では、物件が抱えるリスクを洗い出すつもりで多面的なチェックを行いましょう。
ポイント:建物の状態
まずは建物の外側をよく観察することです。建物に歪みや傾きはないか、隣家との距離はどうか、建物の基礎や外壁に染みや太い亀裂はないか、シャッターの開閉はスムーズか…などをよく確認してください。わからないことや不安に思うことがあれば不動産会社の担当者に尋ねましょう。
ポイント:窓・日当たり・風通し
一戸建ての窓の配置は、室内の明るさや風通しのよさに大きく影響します。朝から夕方までの太陽の動きや、季節による日差しの角度も考慮して窓の位置を確認できればベストです。風の流れも時間帯や季節によって変わることに注意してください。 新しく開発された分譲地に建つ一戸建ての場合、見学の時点では隣家が建設されていないかもしれません。周囲の家がすべて完成したとき、日当たりや眺望がどうなるのかについても、不動産会社の担当者の助けを借りて確認しておきましょう。
ポイント:生活動線
毎日繰り返される生活では、人がスムーズに動けるかどうかで快適さが変わります。いわゆる生活動線です。例えば、洗濯機で洗った衣類を干し、取り込んで畳み、クローゼットへ運ぶまでの洗濯動線が短ければ、家事の負担を減らせます。重たい買い物袋を持って帰宅し、冷蔵庫へ行くまでの動線が長いとストレスを感じるかもしれません。感染症対策が特に注目されるようになった最近では、帰宅してから手を洗うまでの動線を気にする買主様も増えてきました。 また、加齢に伴う身体の衰えまで考えるなら、階段の各段の高さや手すりにも注意したいところです。
ポイント:キッチン・浴室・トイレ
キッチンでは、毎日必ず使う調理台の高さや広さ、食器収納の使い勝手などをチェックしましょう。複数の家族が同時にキッチンを利用するご家庭なら、人が動き回れるだけの広さが欲しくなります。 浴室は広さや浴室乾燥機などの設備面を見るだけでなく、防犯のため、窓が敷地外から見えるかどうかにも注意しましょう。 また、家族の人数が多い場合はトイレと洗面所の数や配置が暮らしの快適さに直結します。
ポイント:収納・家具レイアウト
収納をチェックするときには、どのような物をしまいたいのかを具体的にイメージしておきます。家族が持っている衣類や、現在の住まいで使っている家電、特定の季節しか使わない家具、スポーツ用品などをリストアップしておくとよいでしょう。 売主様が居住中の中古物件では、実際の部屋の使い方や家具のレイアウトが参考になります。売主様の許可を得てから壁と家具の距離などをメジャーで測定し、買主様が使う予定の家具と比較してみましょう。
ポイント:間取り・デザイン
住まいを探すときは誰でも間取りやデザインを気にします。間取りによって暮らしやすさが大きく変わり、デザイン性は暮らしの質や満足度に関わるため、当然のことです。 ただ、注意しなければならないのは、間取りやデザインだけが一戸建てを探す際の重要事項ではないということです。暮らしや資産価値に影響する立地や、1度建物を建ててしまうと改良するのが難しい地盤、そして土地の用途を制限している法など、自分の力ではどうにも変えられないポイントも極めて重要です。 お金を出せば変更ができる間取りやデザイン、設備などに必要以上にこだわり、肝心なことのチェックを疎かにしないようにしましょう。
ポイント:周辺環境
一戸建てを見学する際には、周辺環境も自分の目で確かめてください。家の周りに日照を遮る建築物がないか、臭いや騒音を出す施設がないか、道を安全に通行できるか…といったことに注意してください。 都市部では昼間と夜で人通りが変化し、街の雰囲気が異なることもあります。物件購入の決断をする前に、時間帯や曜日を変えて現地に足を運ぶべきです。郊外では公共交通機関の便や近隣とのお付き合いについて、不動産会社の担当者や売主様に尋ねてみましょう。
見学は売主様から情報をもらうチャンス
中古の一戸建ては売主様が居住している状態で見学するケースがほとんどです。売主様は誰よりもその物件のことを知っています。ぜひ、家の満足している点や不満な点、使い勝手の良し悪しなどについて尋ねてみましょう。 初対面の売主様にあれこれ聞くのは気が引けるかもしれませんが、物件に居住する方にお話を聞ける機会は見学を除いてほとんどありません。大切なチャンスを活かすようにしたいものです。
専門家に同行してもらうことも
不動産の素人である買主様が建物や土地の状態を調査するのは難しいことです。知識と経験が十分ではない買主様が専門的な判断をしようとすれば、誤った結果に導く恐れもあります。そのようなことを防ぐため、不動産会社の担当者が説明する物件の概要にはしっかりと耳を傾けるようにしてください。 不動産会社の担当者は不動産売買のプロですが、建物の構造にも精通しているとは限りません。そこで、購入の可能性が高い物件を見学する際に、一級建築士や不動産コンサルタントに同行を求める買主様もいます。構造のプロが第三者の目で物件を見学し、買主様が提供する資料に目を通すことで、素人が気付きにくいポイントについてアドバイスを受けることができます。
ホームインスペクションの活用
見学に専門家が同行したとしても、詳しい検査を行うわけではないため、目に見えない部分に問題が隠れている恐れは残ります。 そこで、中古住宅を購入するときにはホームインスペクション(住宅診断)の活用も検討しましょう。
ポイント:ホームインスペクション
ホームインスペクションとは、住宅の専門家である住宅診断士が第三者的な立場で住宅の劣化状況や欠陥の有無、改修の必要性や費用などを見極めてアドバイスを行うものです。 ホームインスペクションでは、公認ホームインスペクターが目視で屋根や外壁、床下などの劣化状況を診断します。また、レーザー機器などを用いた調査も行います。 不動産売買のワンストップサービスを行っているしずなび株式会社でも、ホームインスペクションの実施を手配しています。
ホームインスペクションの実施時期
ホームインスペクションは見学した物件の購入を本格的に検討し始めるタイミングで行うのが一般的です。具体的には購入申込書の提出前がよいでしょう。仲介を依頼している不動産会社を通し、ホームインスペクションを行いたい意思を売主様に伝えてもらいます。
余裕を持って見学できるように
一戸建ての物件を見学するときのポイントを挙げましたが、経験の少ない買主様がすべてを漏れなくチェックするのは難しいかもしれません。その場合、専門的なチェックについては同行する不動産会社の担当者の役割とし、買主様は希望条件に合っているかどうかや「住みたい」という気持ちになるかどうかの見極めに力を注いでもよいでしょう。必要であれば建築士らにも協力してもらい、各専門職のサポートを受けながら余裕を持って見学できるようにしましょう。