住宅買取のメリット・デメリット、買取までの流れについて解説!
目次
住宅買取のメリットや流れを知っておこう
住宅を売却する方法として一般的なのは不動産会社に依頼して買主様を探してもらう「仲介」です。これとは別に、不動産会社に物件を買い取ってもらう「買取」という選択肢もあります。
住宅買取と仲介
買取
住宅のエンドユーザーである一般の買主様ではなく、不動産会社が買主となるのが住宅買取です。 当初は仲介での売却を模索し、途中から買取へ方針転換することも可能です。また、仲介の依頼を受けた不動産会社が販売活動を進める中で、別の不動産会社が「買いたい」と申し入れてくるケースもあります。
仲介
売主様と仲介(媒介)契約を結んだ不動産会社は、売主様の代わりになってよい買主様を探してくれます。 不動産会社は売却物件の情報を一般に公開し、買主様を見つけるチャンスを広げます。仲介によって売買が成立し、不動産を売却できた際には、不動産会社への報酬として仲介手数料が支払われます。
即時買取と買取保証付き売買
即時買取
不動産会社が買取を目的とした査定を行い、売主様が査定金額に納得できれば、不動産会社が即時に買い取ります。早ければ数日、その他の場合も1ヶ月ほどで住宅を現金化することができます。 売買の手続きとしては通常の不動産取引と変わらず、即時取引だからといって手順を省略するなど特別なことはありません。
買取保証付き売買
買取保証付き売買は、2つの段階を設けて販売を進める方法です。 第1段階では、不動産会社が売主様に買取の金額を提示した後、通常の販売活動を行います。販売活動を行う期間は、売主様の希望に応じてあらかじめ決めておきます。 不動産会社は販売活動として、不動産のプロのみが使える「レインズ(REINS)」(Real Estate Information Network System・不動産流通標準情報システム)に物件の情報を登録し、一般の買主様への売却を試みます。これにより、買取より高額で売却できる可能性があります。 第1段階で売却に至らなかった場合、第2段階に移り、不動産会社が最初に提示した金額で物件を買い取ります。 買取保証付き売買は、いつまでに現金化したいというタイムリミットはあるものの、高額での売却も試みたいという売主様に適した売却方法です。
住宅買取のメリット
仲介手数料が不要
仲介の場合、売買が成立した際に仲介手数料が発生します。仲介手数料は成約価格が400万円超の場合、価格の3%+6万円(消費税別)が上限となっています。 一方で住宅買取の場合は、この仲介手数料が不要となります。
現金化のスピードが速い
住宅買取では価格の交渉がまとまれば物件をすぐに買い取ってもらえます。不要な不動産をできるだけ短期間で、または決められた期日までに確実に現金化したい売主様にとって、大きなメリットと言えるでしょう。 現金化に要する期間の目安は約1ヶ月です。その内訳として、物件の査定と見積もり作成に1週間、売買契約の締結までに1週間、不動産会社がローンを利用する場合はその手配に3週間ほどを見ておくとよいでしょう。
売りにくい物件でも買い取ってもらえる可能性
買い手がつきにくい物件を買い取ってもらえる可能性がある点も住宅買取のよいところです。長年にわたって販売活動をしているにもかかわらず売れない物件をお持ちの売主様にとっては、買取も妥当な選択と言えるでしょう。
契約不適合責任を負わない
住宅買取の場合、売主様は契約不適合責任を負いません。契約不適合責任とは、不動産に瑕疵(欠陥)があった場合に売主様が負う責任のことです。住宅買取では買主が不動産のプロである不動産会社(宅建業者)であるため、売主様が契約不適合責任を問われることがありません。
内覧の時間や手間を省ける
仲介によって売却を目指す場合、買主様が見つかるまでに何回もの内覧を受け入れることになります。内覧に立ち会う売主様にとって、拘束時間の長さや自宅に他人を迎えることが負担に感じられます。その点、不動産会社による住宅買取なら、プロによる査定を1回受けるだけでよく、時間と手間を大幅に節約できます。
住宅買取のデメリット
売却価格が安くなる
住宅買取のデメリットとして真っ先に挙げられるのが、仲介に比べて価格が安くなってしまうことです。価格が安くなる理由は、不動産会社が物件を買い取る目的にあります。不動産会社が買い取る目的は転売です。具体的には、買い取った一戸建てやマンションをリフォームし、エンドユーザーである一般の買主様に販売して利益を上げるわけです。また、大きな土地を買い取って分割し、分譲地として売り出すこともあります。このような理由から、住宅買取ではどうしても仲介より低価格になってしまいます。一般的には相場から3~4割程度安い価格で買い取ることが多くなっています。 では、住宅買取の価格を少しでも高くするため、売主様にできることは何でしょうか。
それは複数の不動産会社に見積もりを出してもらうことです。すでに不動産会社に売却の仲介を依頼済みで、他の不動産会社への売却を検討するときには、仲介を引き受けている会社が複数の見積もりを取ってくれるでしょう。そうではない場合は、売主様が自分自身で複数社に見積もりを依頼することになります。
買取と仲介、どちらがいい?
希望金額とスピードで判断
すでに述べたように、住宅買取は不要な不動産をスピーディーに現金化でき、売主様の労力や時間を節約できる売却方法です。その一方で売却価格が市場価格よりも安くなる点が唯一とも言える難点です。 つまり、売却のスピードを優先し、価格に妥協できる売主様にとって、住宅買取は検討に値する手段です。もし売却価格を最重視するなら仲介を選ぶことになります。
住宅買取に向いている不動産
住宅買取を選ぶことでメリットを得やすい不動産には、次のようなものがあります。
- 築年数が20年を超えた一戸建て
築年数が経過した一戸建ては、そのままでは買主様が見つかりにくいため、不動産会社に買い取ってもらった方が確実に現金化できます。その反対に、築年数が浅い物件はよい買主様が付く可能性があるため、仲介による販売活動を経ずに住宅買取を利用すると損をしてしまう恐れがあります。 - 長い間売れない物件
一般の人が好まない物件や、長期間にわたって売れ残っている物件は、いつ現れるかわからない買主様を待つよりも、不動産会社に適正な査定をしてもらって売却する方がよいでしょう。
住宅買取の流れ
不動産会社に住宅の買い取りを依頼してから現金化するまでの主な流れは、次の通りです。仲介による売却と比べてステップが少なく、シンプルであることがわかります。
- 買取査定
物件の調査・査定を行います。 - 審査
不動産会社が購入するかどうかを審査します。
- 見積もりの提示
不動産会社が購入価格や諸条件を提示します。 - 売却申込
売主様が売却申込書に署名・捺印し、提出します。 - 売買契約の締結
売主様と不動産会社との間で不動産売買契約を締結します。 - 代金支払・引渡し
代金支払いと同時に不動産の引き渡しを行います。
買取査定
不動産会社によりますが、まずは簡易査定を行ってから訪問査定に進むのが一般的です。簡易査定は必要最低限の情報を基に概算を示す査定のため、短時間で結果が出ます。不動産各社がWebサイトでスピード査定のサービスを提供しているため、知っている方も多いでしょう。
訪問査定は不動産会社の担当者が物件を訪問し、実際に目で見て調査します。調査で重視するのは次のようなポイントです。
- 建物
日当たり、屋根や外壁の状態、水回り設備の状況 など - 土地
日当たり、周辺環境 など - マンション
立地、棟内の部屋の位置、共用部分の管理状況 など
また、売主様へのヒアリングも実施し、できるだけ多くの情報をいただいて見落としがないように努めます。また、調査の一環として官庁が持つ情報も確認します。そのため、査定に時間がかかりますが、結果の精度は高くなります。
見積もりの提示
通常、査定から1週間ほどで購入価格や諸条件が提示されます。 査定では不動産会社の担当者がレインズを活用し、付近の相場や取引事例などを確認します。レインズでは現在売りに出されている物件の売り出し価格がわかるだけでなく、過去の成約事例の年月日まで調べられます。不動産会社はそのような情報を基に査定価格をつけていきます。もちろん、住宅を買い取った後のリフォーム費用なども考え合わせます。 不動産の引き渡し時期や、不動産から取り外し可能な空調設備や家具の扱いなどについても打ち合わせが行われます。
売買契約の締結
売主様が購入価格や諸条件に納得すると、その後1週間ほどで不動産売買契約の準備ができます。契約の当日には契約内容を再確認するほか、物件の状況を売主様と不動産会社の担当者が一緒に確認します。 問題がなければ契約書などの読み合わせが行われ、売主様と不動産会社が売買契約書を取り交わします。
代金支払・引渡し
あらかじめ決めておいた引き渡し日(決済日)に不動産会社から売却代金を受け取り、物件を引き渡します。売主様の住宅ローンが残っている場合はその手続や所有権移転登記などを行い、売買契約が完結します。
不動産会社の選び方
住宅買取を依頼する不動産会社を選ぶときには、提示される金額だけでなく、売主様の要望をしっかりと聞いてくれるかどうかも判断材料にしましょう。中には、1度は高い金額を提示したものの、契約の段階になって様々な理由を持ち出して価格を下げる会社もあるからです。 売主様の希望金額や売却時期などを聞き取り、その要望に合った提案をしてくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。