土地価格の調べ方は?売却や相続などの目的別の基準を解説

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土地の価格の調べ方を目的別に解説!土地の売却・相続・税金に関する公示地価・実勢価格・相続税路線価・固定資産税評価額の調べ方について詳しくご紹介します。

不動産業を生業にしていないと、土地の売却は何度も経験することではありません。
「土地を売却したい」と考えても、下記のようなことで悩んでしまい、なかなか売却できない方も多いでしょう。

  • 土地価格の相場が分からない
  • あらかじめ売却地域の相場を知りたい
  • できるだけ高値で売却したい

本記事では、土地価格の調べ方や土地価格の基準について解説します。
土地の売却を考えている方は、参考にしてください。

土地の価格が決まる基準

土地の価格が決まる基準

土地価格が決まる基準は1つではなく、売買や相続など目的によって使い分けなければなりません。

土地の売却が目的であれば「公示地価」「実勢価格」を確認します。
「公示地価」「実勢価格」は、あくまで目安となる価格です。
地域の相場価格を確認し、売却で失敗しないためにも知っておきましょう。
土地の相続が目的であれば「相続税路線価」を確認します。
土地の税金を知りたい場合は「固定資産税評価額」を確認しましょう

公示地価とは

公示地価とは、国土交通省が公示地価法に基づき定める土地価格です。
国土交通省が設定した標準地を対象にして、1地点を2人の不動産鑑定士が評価額を算出します。
算出された評価額は、毎年3月にその年の1月1日時点における1㎡あたりの土地価格として活用されます。

公示価格を算出するための標準値は、全国隅々まで定められていません。
売却したい地域の価格が分からないこともあります。

公示地価の調べ方

公示価格は、国土交通省の『国土交通省地価公示・都道府県地価調査』で調べられます。

国土交通省地価公示・都道府県地価調査

①『国土交通省地価公示・都道府県地価調査』にアクセスし、土地価格を調べたい都道府県を1つ選択します。

①『国土交通省地価公示・都道府県地価調査』にアクセスし、土地価格を調べたい都道府県を1つ選択します。

②「検索地域選択(市区町村)」にて、検索したい市区町村を選択します。

②「検索地域選択(市区町村)」にて、検索したい市区町村を選択します。

③「検索条件指定」にて、知りたい情報にチェックを入れて、「検索」をクリックします。
上記では、静岡県を選択しています。

③「検索条件指定」にて、知りたい情報にチェックを入れて、「検索」をクリックします。

④「検索結果表示」から、知りたい土地価格の場所を確認します。

④「検索結果表示」から、知りたい土地価格の場所を確認します。

【画像引用】『国土交通省地価公示・都道府県地価調査』

実勢価格とは

実勢価格とは、土地の取引にて「実際に取引が成立した価格」のことです。
つまり実勢価格は「時価」ともいえます。

売却を希望する土地の地域の相場を把握できれば、自分の土地価格の目安にすることが可能です。

ただし実勢価格は、当事者間の事情によって価格が大幅に変わることがあります。
例えば「相続した土地を手入れができないため、すぐに売ってしまいたい」と売却主が考えれば、相場よりも安い価格で売却することがあります。

実勢価格は、個別事情により相場よりも価格が大きく変動する可能性があるため、実勢価格を調べる場合は、複数の土地価格を参考にしましょう。

実勢価格の調べ方

実勢価格は、国土交通省の『不動産取引価格情報検索サイト』で調べられます。

国土交通省 土地総合情報システム

①国土交通省の『不動産取引価格情報検索サイト』にアクセスします。
左側の「プルダウン」からの検索と右側の「地図から検索する場合の2つの方法で検索可能です。

①国土交通省の『不動産取引価格情報検索サイト』にアクセスします。<br>     左側の「プルダウン」からの検索と右側の「地図から検索する場合の2つの方法で検索可能です。

②プルダウンから検索する場合は「時期を選ぶ」「種類を選ぶ」「地域を選ぶ」を入力し、下部にある「この条件で検索」をクリックします。
検索を行う際は、1件以上該当する土地があるのか確認しましょう。

②プルダウンから検索する場合は「時期を選ぶ」「種類を選ぶ」「地域を選ぶ」を入力し、下部にある「この条件で検索」をクリックします。<br>     検索を行う際は、1件以上該当する土地があるのか確認しましょう。

③不動産取引価格情報の中から、坪単価や㎡単価を確認します。

④右側の地図から選ぶ場合は、土地価格を調べたい都道府県を1つ選択しましょう。

④右側の地図から選ぶ場合は、土地価格を調べたい都道府県を1つ選択しましょう。

⑤表示された地図内で、土地の価格を調べたいところでクリックすると吹き出しが現れ、㎡単価などが分かります。
さらに詳しく知りたい場合は「詳細表示」をクリックしましょう。

⑤表示された地図内で、土地の価格を調べたいところでクリックすると吹き出しが現れ、㎡単価などが分かります。<br>     さらに詳しく知りたい場合は「詳細表示」をクリックしましょう。

【画像引用】国土交通省の『不動産取引価格情報検索サイト』

相続税路線価とは

相続税路線価とは、相続税や贈与税を算出するための基準となる価格です。
相続税法に基づき国税庁が定めており、毎年7月に発表され、その年の1月1日時点の土地価格が公表されます。

相続税路線価の調べ方

相続税路線価は、国税庁の『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』で調べられます。

①国税庁の『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』にアクセスします。

国税庁 財産評価基準書

②土地の価格を調べたい都道府県を選択します。

②土地の価格を調べたい都道府県を選択します。

③「財産評価基準書目次」から「路線価図」を選択します。

③「財産評価基準書目次」から「路線価図」を選択します。

④「令和○年分 財産評価基準書」から、土地の価格を調べたい市区町村を選択します。

④「令和○年分 財産評価基準書」から、土地の価格を調べたい市区町村を選択します

⑤ ④で選んだ市区町村の「路線価図・町丁名索引」ページから、土地の価格を調べたい地名に該当する路線価図ページ番号を選択します。

⑤ ④で選んだ市区町村の「路線価図・町丁名索引」ページから、土地の価格を調べたい地名に該当する路線価図ページ番号を選択します。

⑥路線価図から、路線価を確認します。
下記は、静岡県静岡市葵区の路線価です。

⑥路線価図から、路線価を確認します。

【画像引用】国税庁の『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは、地方税法に基づき下記のような土地にかかる税金を算出するための基準となる価格です。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税

固定資産税評価額は、各市区町村が3年ごとに基準日を1月1日として、3・4月に公表します。
固定資産税評価額の目安は「公示価格×70%」です。

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額を調べる方法は、下記3つの方法があります。

  • 課税明細書で確認
  • 固定資産課税台帳を確認
  • 固定資産評価証明書を確認
課税明細書で確認

「課税証明書」または「固定資産税納付書」で確認可能です。
上記の書類は、居住地の市区町村から毎年4月〜6月に送付されます。

固定資産課税台帳を確認

固定資産課税台帳の確認によっても、固定資産税評価額を調べることができます。
固定資産課税台帳とは市区町村長が作成し、固定資産税の課税対象となる土地・家屋などに関して、所在や所有者、評価額などを登録した帳簿です。

固定資産課税台帳の閲覧は、納税義務者や同居の家族、納税義務者から委任を受けた代理人などと制限されています。
なぜなら固定資産課税台帳には、土地の評価額などが記載されており、第三者が閲覧できてしまうと、所有者の意思を無視して財産上の秘密を漏らすことになるためです。

固定資産評価証明書を確認

固定資産評価証明書も土地などの固定資産の評価額を証明できる書類です。
固定資産評価証明書を取得できる人は、固定資産の所有者や委任を受けた代理人などに限られています。

固定資産評価証明書は、市区町村(東京都は都)の窓口または郵送にて取得可能です。
取得には、マイナンバーカードなどの本人確認書類や証明書手数料が必要となります。

土地の売却価格を調べる3つの方法

土地の売却価格を調べる3つの方法

土地の売却価格を調べる方法は下記3つです。

  • 簡易査定シミュレーションを利用する
  • 自分で調べる
  • 不動産会社の査定を受ける

それぞれのメリット・デメリットを把握した上で、自身にとって最適な調査方法を選択してください。

簡易査定シミュレーションを利用する

簡易査定シミュレーションとは、過去の取引事例に基づき、売却予定の土地の参考価格を算出できるツールです。
「土地 簡易査定シミュレーション」などのキーワードで検索すると、出てきます。
また誰でも使うことができ、個人情報を入力する必要がなく、使用後も不動産会社からの営業電話やメールは来ません。

ツールに入力する主な情報は、下記を参照してください。

  • 土地の住所
  • 土地面積

簡易査定シミュレーションは、パソコンやスマホがあれば自宅で土地価格を調べることが可能で、数十秒で参考価格を知ることが可能です。

一方で、算出される価格はあくまで参考価格のため、実際の土地価格と乖離している場合があります。

簡易査定シミュレーションは、不動産会社へ売却の相談を行う前に土地価格の相場を知るために利用すると良いでしょう。

自分で調べる

先述したように、土地の価格は自分で調べることもできます。
また自分で調べて出てきた価格は、参考価格であることには注意が必要です。
土地の価格はさまざまな要因によって変動するため、調べた価格で必ず売却できるとは限りません。

実勢価格(時価)であれば、自分で調べることも可能です。
先述しましたが、国土交通省の『不動産取引価格情報検索サイト』を活用すれば、過去の取引事例を確認できます。

不動産会社の査定を受ける

実際の売却価格に最も近い土地価格を調べる方法は、不動産会社の査定を受ける方法です。

不動産会社の担当者に現地調査をしてもらい、過去の取引事例や現在の状況を加味した見積りがもらえます。
また売却を行う上で、有利な点と不利な点を聞けるため提示された見積り価格の根拠を知ることも可能です。

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土地の価格に影響する10の要素

土地の価格に影響する10の要素

経済情勢

コロナ禍前の外国人旅行者(インバウンド)による地価高騰から、コロナ禍に入り旅行者が減るなどから先行きの不透明感から下落が転じることもあり、経済情勢に大きな変化が起こると、土地の価格も影響を受けます。

高さや用途など公法上の規制

土地は場所によっては高さや建物の用途などに規制が設けられます。
法律や条令等の公法上の規制は、土地の利用方法を制限することになるため、土地価格に一番の影響を与えています。
土地の査定は、まずは公法上の規制から調査します。どのような法律があるかを知り、法律の規制の内容も理解する必要がありますので、一般の人が査定をする場合、この法律知識が一番ハードルの高い障壁となり、なかなかきちんとした査定を行うことができません。

駅からの距離や利便性

土地の価格は駅からの距離が影響します。基本的には駅に近づくにつれ価格は高くなります。
しかし、駅から徒歩圏外になると車やバスでの移動が主流となるため、駅からの距離は重要性が低くなり、影響を受けなくなります。
例えば、駅から徒歩1分と徒歩5分の土地との間では価格に差がありますが、徒歩40分と徒歩45分の土地との間では、価格に差がほとんどありません。
駅からの距離の影響は、状況に応じて変化することを理解しておきましょう。
また、土地付近の利便性によっても価格に影響があります。
ショッピングセンターが近くにあるか、公共施設(役所や病院)があるなど、生活に必要な施設があることで土地の価格に影響します。

土地の面積・形状

土地の価格において面積は重要な要素です。公法上の利用に規制はありますが、面積が十分あることで利用用途が増すため需要が高まります。
例えば、公法上の規制でマンションが建てられるようなエリアであっても、40坪しかない土地では、そこにマンションを建てることは困難です。
小さな土地は、建てられる建物自体に影響し、戸建しか建てられないなどから価格に影響します。マンションが建築可能な土地の方が価格も高くなりやすいです。
また形状においても価格に影響があります。建物が建てにくいなどから、建築に制限が生まれるなどから価格は低くなります。
土地が広ければ、一部の形状が悪くても建築に影響する範囲が小さくなるため、価格への影響も小さくなります。

接面道路の幅員

土地に接面している道路の幅員によって建てられる建物の大きさが決まります。不動産情報でよく目にする容積率に関わり土地の価格が影響があります。
前面道路の幅員が12m未満であれば用途区域の区分により容積率の計算方法が変わります。4m未満の場合は、セットバックが必要となり、土地を小さくする必要もあります。
「セットバックについて」はこちらの記事をご覧ください。
前面道路の幅員が狭い土地は、大きな建物が建てられないため、価格は低くなります。

間口の広さと奥行の長さ

前面道路に対して間口が広い方が使い勝手が良いため、価格が高くなります。それに対して、間口が狭い場合や奥行が長い土地は利用しにくく価値が落ちます。
例えば、車が駐車できないような間口の場合、人の通行しかできないため利便性が低くなります。奥行が長い場合も住居などの設計においても自由度が低くなります。
間口の広さと奥行の長さは、建築の自由度に影響するため、価格に影響します。

角地など接面道路との関係

接面道路が2面以上あるような土地を角地と言います。
角地は視認性が良いことや、日照・風通しが優れていることから価格は高くなります。
ただし、セットバックが必要な場合は、建てられる建物が小さくなる場合もあるため、接面道路の幅員の影響も考慮する必要があります。

道路との高低差

土地が道路よりも低い場合、道路の下水本管に排水をする必要があり、敷地内で下水をポンプアップする必要があり、価格は低くなります。
道路よりも少し高い場合は、マイナス要因はなく、排水も行いやすいため、価格は高くなります。
しかし、あまりにも道路より高い場合は、階段を作る必要が発生するため、利便性が低くなることから価格も低くなります。

土壌汚染や埋蔵文化財、地下埋設物

土壌汚染や埋蔵文化財、地下埋設物は、価格に深刻な影響を与えます。
土壌汚染であれば、除去や汚染の拡散防止が必要になることや、利用上の成約が発生します。
埋蔵文化財であれば、記録作成のための発掘調査や文化財の保護が必要となってきます。
いずれも専門機関による調査が必要となり、不動産会社が行う査定においては調査の対象外になります。

嫌悪施設との接近の程度

土地の近くに嫌悪施設と呼ばれる、「墓地」や「送電線」、「産業廃棄物処理場」等がある場合は、土地の価格が低くなります。
嫌悪施設には明確な定義はありませんが、悪臭や騒音、強力な電磁波等が発生し、人に不快感を与えるような施設が該当します。
嫌悪施設の存在は、「売却時の重要事項説明」で買主に対して必ず説明する必要があります。買主の価値観や世間的な評価によっては、減価の要因となってしまいます。
嫌悪施設までの距離や内容により価格への影響は変わってきます。不動産会社の経験値によって険悪施設の影響による査定額は変わります。

まとめ

公示地価や実勢価格などは、土地を売却する際に相場を把握するのに役立ちます。しかし、実際に売却する場合は様々な要素から価格が決まるため、参考価格として捉える必要があります。
公示地価や固定資産税評価額については複数の価格を調べ、総合的に比較することで相場を把握することができます。
自分で土地の市場価格を調べる知識があれば、シミュレーターや不動産会社から提示される査定額と自分で調べた相場価格を比較ができます。
提示された査定額が適正価格かどうかの判断が行えます。土地の売却を行う時は、内容をはっきり説明でき信頼のできる価格を提示した実績のある不動産会社を選択しましょう。

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