2014年度 コンパクトシティの実現に向けて支援措置!
民間資金や公的不動産を活用して都市機能を街なかへ誘導
都市の再興を目指し都心回帰促す
国土交通省は、2014年度から人口の減少や高齢社会に対応して「コンパクトシティー」づくりに向けた各種の支援措置を実施する。
まず2014年度税制改正に都市機能の整備のための特例措置を創設したのに合わせて、今国会に都市再生特別措置法の改正案を提出し、都市再興の実現を目指す。
今後、地方都市では人口が急速に減少することにより、市街地での生活機能の低下や地域経済・活力の衰退の恐れがあるとして、郊外に散らばった医療、福祉、商業施設などの都市機能を支援策を通じて都市の中心部へ誘導する。
具体的には、中心部への移転を決めた企業や土地を提供する地権者に対して税負担を軽くする支援策を講じる。また市町村が持つ公共施設跡地や学校跡地などの土地を有効活用するため、民間事業者に賃貸するなどの仕組みも整える。
事業はまず、市町村が都市全体を見渡して立地適正化のためのマスタープランを作成する。(1)都市機能の計画的配置、(2)公共交通の充実、(3)人口密度の維持の3点を柱に、公共交通等の既存ストックが充実しているエリアを都市機能誘導区域(仮称)として指定する。これらの誘導区域では、郊外にある医療、福祉、子育て支援、教育文化、商業をまちの拠点となるエリアに誘導するため、国による助成や金融支援を強化する。また郊外部の旧建物の除却・処分、移転跡地の緑地等整備も支援する。地方自治体が民間事業者に自らの公的不動産を安価で賃借させる場合には国からも民間事業者に対して直接支援を行なうなどの環境も整える。
事業用資産の買換えには80%課税を繰り延べ!
税制上の支援措置は、移転にあたって都市機能誘導区域外から区域内への事業用資産の買換え特例として、売却で得た譲渡益について80%課税を繰り延べる。
一方、土地を譲渡する協力者には、居住用資産を譲渡し、整備された建物を取得する場合には買換え特例で100%課税を繰り延べできるようにする。また何らかの事情により建物を取得しない場合には6,000万円以下の部分について所得税を15%から10%に、住民税を5%から4%にそれぞれ軽減する措置を講じる。地方税でも都市機能とあわせて整備される公共施設、都市利便施設は固定資産税や都市計画税を課税の特例で5年間20%軽減する措置を盛込む。
税制上の特例措置
移転誘導
●都市機能を誘導すべき区域の外から内への事業用資産の買換特例
80%課税繰り延べ(3年間)
都市機能を誘導する事業の促進(協力者)
●誘導すべき都市機能の整備の用に供する土地等を譲渡した場合の特例
居住用資産を譲渡し、整備された建築物を取得する場合(恒久措置)
買換特例所得税100%繰り延べ
住居用資産を譲渡し、特別の事情により整備された建築物を取得しない場合の所得税(個人住民税)の軽減税率(恒久措置)
原則:15%(5%)→6,000万円以下10%(4%)
長期保有(5年超)の土地等を譲渡する場合(3年間)
◎所得税(個人住民税)
軽減税率原則15%(5%)→2,000万円以下10%(4%)
◎法人税:5%重課→5%重課の適用除外
都市再生推進法人(仮称)に土地等を譲渡した場合の特例
●誘導すべき都市機能の整備の用に供する土地等を譲渡した場合の特例
長期保有(5年超)の土地等を譲渡する場合(3年間)
上記「3」に同じ
当該法人の行なう都市機能の整備等のために土地等を譲渡する場合(恒久措置)
1,500万円特別措置
都市機能を誘導する事業の促進(事業者)
●都市機能とあわせて整備される公共施設、都市利便施設への固定資産税・都市計画税の課税標準の特例(5年間4/5に軽減)(2年間)
編集協力 静岡情報通信