2015年静岡県西部不動産市場を予測

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2015年静岡県西部不動産市場予測で、県全体の地価はやや下落傾向にある一方で新所原駅周辺の分譲地や浜松市内の分譲マンションは人気が高く、価格が上昇している。

国土交通省が発表した2014年7月1日現在の都道府県地価(基準地価)によると、静岡県内平均変動率は住宅地、商業地、工業地ともに6年連続で下落したものの、下げ幅は縮小。今年上期の景気回復傾向や消費税増税前の駆け込み需要を受け、都市部など好立地を中心に上昇地点が増加した。しかし、その後、アベノミクスが減速するにつれて景気がもたつき、地価も弱含みで推移している。2014年の動向をふり返り、2015年の不動産市場を予測するこの特集。濱松不動産鑑定株式会社の不動産鑑定士、中村進一郎さんにうかがった。

写真:濱松不動産鑑定株式会社 不動産鑑定士 中村進一郎さ
濱松不動産鑑定株式会社
不動産鑑定士 中村進一郎さん

好調は春まで。夏頃から鈍り、11月のGNP速報値が響く。

期待されていたアベノミクス効果と今年4月1日の消費税増税前の駆け込み需要で活発にスタートした2014年。春までは好調に来たが、夏を過ぎ、秋風が吹く頃には陰りが見え始めた。

まず、2014年7月1日現在の基準地価を振り返ってみよう。県内平均変動率は住宅地マイナス1.2%、商業地マイナス1.0%、工業地マイナス1.0%と、いずれも6年連続で下落したが、下げ幅は縮小している。調査した610地点のうち、上昇したのは住宅地が100(前年77)、商業地が37(前年24)、工業地が5(前年1)の計142地点(前年102)。これは継続調査地598地点の約23.7%にあたる。一方の下落は351地点と過半数を占めたが、前年の382地点より減少した。下落幅は縮小しているものの、上昇幅も決して大きいとはいえず、楽観できる状況ではない。現に調査後の地価は低迷している。

中村さんはこうした状況を次のように分析する。「春までは確かによかった。このまま上向くのかなと思っていたら、円安の影響と消費税増税後の景気のもたつきでブレーキがかかってしまいました。人に例えると、自覚症状はないが、体温を測ってみたら意外に熱があったという感じですね。追い打ちをかけたのが11月に公表されたGNP速報値。地価の取引価格は12月時点で年2%の下落(表A)となり、年初の勢いは一服している状況です」

さらに内閣府は、2014年12月8日、7-9月期の実質GDP成長率の改定値を0.4%減から0.5%減、年率換算で1.6%減から1.9%減に修正。GDPの60%を占める個人消費は速報値と同じ0.4%、設備投資は0.2%減から0.4%に修正した。電気、情報通信の業種と並び、不動産でも企業および個人事業者の投資が弱くなっている。

住宅地価格の推移(浜松市の平均モデル)(表A)

表:住宅地価格の推移(浜松市の平均モデル)(表A)
資料提供:濱松不動産鑑定
(図1) 沿線別宅地価格(平成26年1月1日現在)
(図1) 沿線別宅地価格(平成26年1月1日現在)(単位:万円/3.3m2)

住宅地の上昇地点は約40%。 JR浜松駅北側から北東が人気。

写真:浜松 半田

区画整理事業によりきれいな街並みを保つ浜松「半田」地区。分譲地に人気が集まっている。
浜松不動産鑑定が取引価格をもとに作成した「住宅地の価格動向(浜松市)」(表B)を見てみよう。2013年12月と2014年12月を比較すると、上昇地点は71%から40%へ、横ばいは25%から10%へと減ったのに対して、下落地点は4%から50%へ増えている。「沿線別宅地価格(静岡県西部)」(図1)を見ても全体的に下がっており、地域によって二極化が進んでいる。

中村さんは続ける。「浜松市は市内の約半分が下落し、中区と浜北区のみが少し上昇。上昇地点は北を0時と見て、時計回りに0時から3時に位置するエリアに集中しています。JR浜松駅北側の中心地から始まり、交通至便な遠鉄沿線、市街化や区画整理が進む新しい分譲地は好調。半田、有玉、高丘、早出、神立、将監あたりで取引が目立ち、高台に位置する初生や三方原も今後の期待感があって人気ですね」
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住宅地の価格動向(表B)

グラフ:住宅地の価格動向(表B)
※上昇と横ばいが前年より減り、下落が約半数に増加。浜松市中区以外は下落幅が拡大した。
資料提供:濱松不動産鑑定

一方、西区、東区、南区の沿岸部は軒並み低調で、人口が南から北へと移行しているのがわかる。近年、企業の移転も相次ぎ、災害に強い「内陸」と高速道路へアクセスしやすい「交通利便性」が用地選定のキーワードとなっているようだ。北区都田では浜松市が約50haの新工業用地整備を急ぐほか、既に供用中の浜松SAスマートIC(新東名高速道路)に加え、東名高速道路に三方原スマートIC(仮称)と舘山寺スマートIC(仮称)を新設すべく事業を進めている。また、浜北区役所の「なゆた浜北」への移転や浜松市立浜名中学校の移転といった日常生活に関わる公共施設の動きにも注目したい。

編集協力 静岡情報通信

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