資金計画を立てよう

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住宅を購入する際は多くの方がローンを組み長期的に支払いをしていくことになります。 事前に資金計画を立て、支払いに無理がないかを様々な点から考慮しなければなりません。 今回は住宅購入に向けての資金計画を立てる上で知っておきたいポイントをご紹介します。

「ローン返済額=現在の家賃」は要注意! 余裕のある資金計画のために知っておきたいこと

一戸建てやマンションを購入するときには、必要となる総コストを把握した上で、そのコストを無理なく支払っていく計画を立てなければなりません。 ここでは、住宅購入に向けて資金計画を立てる際に知っておきたいことをまとめました。

住宅購入の諸費用

住宅購入時には物件の他にも手続き、税金など諸費用がかかります。 金額の目安としては新築の場合物件の3~7%、中古・建売の場合6~10%程となり、現金払いが原則のため注意が必要です。

物件価格のほかに、住宅を購入する際に必須の「諸費用」があります。諸費用には、家を買うときの税金や登記費用、金融機関でローンを組むときの保険契約や保証料などがあります。

諸費用の目安

諸費用の大まかな目安は、新築の場合は物件価格の3~7%、中古や建売分譲住宅の場合は物件価格の6~10%です。中古や建売の方が高くなるのは、売主から直接購入するケースが少なく、仲介の不動産会社を通すことが多いためです。 これはあくまで目安で、物件の性質やローンの種類によって変わりますので、多めに見積もっておくとよいでしょう。

諸費用は現金が原則

諸費用は原則として現金で用意しておく必要がありますが、準備できない買主様もいます。その場合、諸費用ローンを利用することになります。ただし、諸費用ローンは一定の収入がある人のみを対象にしています。つまり、諸費用ローンの基準を満たす収入がなく、諸費用に充てられる貯蓄がなければ、住まいの購入は不可能ということです。

契約関連の諸費用

諸費用には契約に関係するもの、登記に関係するもの、そしてローンに関係するものがあります。

契約関連としては、不動産売買契約書や、ローン契約書の印紙税があります。また、建物に課せられる消費税や、仲介手数料の消費税もあります。 なお、土地売買の取引には消費税がかかりません。

登記関連の諸費用

所有権や抵当権の登記には、登録免許税がかかります。これらの登記を司法書士に依頼すれば、報酬が発生します。

ローン関連の諸費用

金融機関でローンを組むときには事務手数料がかかります。事務手数料を数万円とするローン商品もあれば、金利が低い代わりに借入額の1~3%を徴収するローンもあるなど、金額には幅があります。 また、保証会社に支払う保証料も必要です。保証会社は融資を受けた人が返済できなくなった場合、本人に代わって返済を行う会社です。保証料は諸費用の中でも金額が大きくなる費用です。

その他の諸費用としては、不動産取得税があります。不動産取得税は土地や建物を買ったり建てたりした場合にかかる税金です。

住まいの維持費

マンションの管理費・修繕積立金

マンションを購入する際に忘れてはならないのが管理費と修繕積立金です。管理費は共用部分の日常的なメンテナンスや、管理人の人件費などに充てられます。修繕積立金は、将来の大規模修繕に備えて徴収されます。 マンションの買主様は、これらの維持費を毎月のローン返済額にプラスして支払っていきます。

賃貸住宅で生活している買主様がマンションを購入する際、賃貸住宅の家賃と住宅ローンの返済額を同額にしてしまうと、返済に行き詰まる恐れがあります。維持費を考慮していないためです。

固定資産税・都市計画税

住宅を購入すると、固定資産税・都市計画税を毎年納めることになります。 固定資産税は土地や建物などを所有している場合に課されます。都市計画税は原則として市街化区域にある土地や建物に課税されます。 一戸建ての場合、マンションに比べて土地の評価が大きくなるため、固定資産税などの負担が重くなることがあります。また、一戸建ては修繕積立金がない分、買主様が大規模メンテナンスに備えて貯蓄をしておく必要があります。

住宅ローンの頭金

住まいを購入するときに現金で必要となる費用には、諸費用のほかにローンの頭金があります。頭金はどれくらい必要になるのでしょうか。 現在は頭金なしで住まいを購入するケースも増えましたが、かつては物件価格の2割程度の頭金を用意するのが一般的でした。頭金を入れれば、住宅購入後のローン返済の負担が軽くなるというメリットがあります。

頭金と担保価値

物件価格の2割程度の頭金を入れておかないと、住まいの売却やローンの借り換えが難しくなることがあります。具体的には「担保割れ」が起きた場合です。 担保割れとは、住宅ローンの残債額が物件の担保価値を上回っている状態を指します。住まいを売却したり、ローンを借り換えたりするためには、住宅ローンを完済して、金融機関が設定した抵当権を抹消してもらわなければなりません。つまり、担保割れの状態では売却や借り換えが不可能ということです。 なぜ、担保割れが起きるのでしょうか。

まず、新築で購入した住まいの担保価値は、購入した瞬間から下がっていきます。特に購入直後は1割ほど目減りしてしまいます。それに加えて、毎月の返済額が一定となる元利均等返済の住宅ローンでは、返済を始めた当初は元金がなかなか減っていきません。そのため、担保割れになりやすいのです。 その点、頭金を準備してから住宅ローンを組めば、頭金なしのケースに比べてローン残債額が少ない状態で返済がスタートするため、担保割れを避けられるというわけです。 担保割れを回避したいのは金融機関も同じです。そのため、頭金を準備できる買主様には優遇金利を適用することもあります。

頭金と貯蓄

マイホーム購入を目指して貯めてきたお金をすべて頭金に充てるのは避けましょう。住宅購入を目的とした貯蓄とは別枠の貯蓄があるなら良いのですが、住まいを買うために貯蓄を吐き出してしまう資金計画にはひずみが生じます。 特に小さな子どもがいるご家庭の場合、子どもの成長と共に増えていく教育費などを考える必要があります。住宅ローンの頭金として貯蓄を取り崩してしまった後に、再び貯蓄を築いていくのは難しいものです。 また、想定外の事態が起きて収入が一時的に減少したとき、家計のゆとりがないのは危険です。 頭金の額を決めるときには、将来の家計の収支を具体的に検討し、「もしも」の事態も考慮しましょう。

ボーナス返済

言うまでもなくボーナスは企業の業績によって増減します。そのため、ボーナスを当てにして住宅ローンの返済計画を立てることは慎重にしましょう。実際、計画の上では問題がないとされたボーナス返済が、難しくなるケースは決して珍しくありません。

年収負担率

年収負担率は、1年間のローン返済額を税込み年収で割って算出します。例えば、毎月10万円を返済する場合、1年間の返済額は120万円。税込み年収が500万円なら年収負担率は24%ということになります。 住宅ローンを申し込んだ買主様に対し、どれくらいの融資をしてくれるかは金融機関によって違いますが、多くの金融機関では年収負担率35%が1つの目安と言われています。 しかし、年収500万円の買主様が年収負担率35%の住宅ローンを組むと、毎月の返済額は15万円近くになります。年収500万円の方の手取りが390万~400万円とし、ボーナスを考慮せず単純に12で割ったとしても手取り月収は約33万円。ローン返済に15万円を充てるとなると、余裕のある資金計画とは言えないでしょう。

賃貸住宅に住んでいる方なら聞かれたことがあるかもしれませんが、無理なく支払える住居費は手取り収入の3分の1と言われます。これを住宅ローンの年収負担率に置き換えると、だいたい20%程度です。返済に充てる割合をもう少し増やすとしても、手取り収入の40%くらい、年収負担率25%程度が負担感なく生活できるラインです。

暮らしの余裕を大切に

せっかくマイホームを手に入れても住宅ローンの返済に精一杯では、節約一辺倒の生活になってしまいます。堅実な資金計画を立てて、時には家族と旅行を楽しむくらいの余裕のある生活をお勧めします。 また、退職して年金生活に入ってからもローンを返済が延々と続くような資金計画は避けたいところです。退職金で一括返済する予定を立てるにしても、その後の暮らしへの影響について具体的な計算に基づいて検討するようにしてください。

親からの資金援助

すでに述べたように、住宅ローンの頭金を準備できた方が返済の負担が減り、担保割れの恐れが少なくなります。しかし、貯蓄のすべてを頭金として取り崩してしまうことは避けたいものです。 そこで、頭金を増やす手段として、親からの資金援助があります。具体的には親からの資金贈与、借り入れ、そして住宅を親との共有にする方法があります。

資金贈与

親から資金の贈与を受け、頭金に充てることができるなら、資金計画に大きな余裕が生まれるでしょう。 ネックになるのは贈与税です。親から贈与を受けるとお金を受け取った子どもが贈与税を納めることになります。贈与税は各種の税金の中でも税率が高いことで知られています。 ただ、現在は父母や祖父母から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に贈与税が非課税となる特例があり、2021年12月31日までに新築等の契約を締結したケースが対象です。この特例措置は拡充・延長される可能性もありますので、国税庁のホームページで確認してください。

借り入れ

親から住宅資金を借りられれば、通常は担保の必要がなく、金利や返済期間についても相談に応じてくれるでしょう。 親から借り入れる場合は、資金贈与ではないことを証明するため、借用書を作成してください。借用書には金利や返済方法、返済期間などを明記します。親子だからと金利をゼロにすると贈与とみなされる恐れがありますので、注意してください。 また、返済は振り込みで行うなど、返済の証拠を残しておくことも必要です。

共有

買主様と親が共同で住まいを購入する方法です。この方法では、親が支払ってくれた金額に応じて土地・建物の持分割合を決め、登記します。 この場合、親の支払い額が多くても贈与とならず、贈与税が課せられないというメリットがあります。 ただし、親も住まいの所有者になるため、不動産取得税や固定資産税などは親も支払うことになります。また、親が亡くなって相続が発生したときには、相続税がかかります。

住まいを購入するときの諸費用や、住宅ローンの頭金や年収負担率についてポイントをご紹介しました。ぜひ、これらのポイントを押さえて住宅購入の総コストを明確にし、生活に余裕を持ちながら返済できる資金計画を立てるようにしてください。

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