離婚することになったらマンションの売却はどうするの?

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マンションを購入した夫婦が離婚することになった場合、マンションを含む財産分与はどのようにされるのでしょうか。 また、まだ住宅ローンが残っているマンションの場合売却することができるのでしょうか。 様々なパターンとともに離婚時のマンション売却についてご紹介します。

離婚することになった場合のマンション売却

所有するマンションに暮らす夫婦が離婚することになった場合、マンションはどのように財産分与されるのでしょうか。住宅ローンが残っていてもマンションを売却することができるのでしょうか。 ここでは、離婚する際の所有マンションの扱いについて説明します。

財産分与

離婚するときには夫婦の財産を分けることになります。これを財産分与といいます。

離婚の際、財産分与の対象となるのは現金や預貯金はもちろん、将来受け取る予定の退職金、居住している住宅のローンまで含まれます。 分け方は様々なケースがありますので双方が納得のいく方法に収める必要がありますが、まずはマンションの評価額を不動産会社などに 依頼しましょう。

財産分与の対象

財産分与の対象となるのは夫婦の共有財産です。共有財産とは、結婚後に夫婦が協力して築き上げた財産のことです。例えば、現金や預貯金、自動車、有価証券、将来受け取る予定の退職金などがあります。借金など、夫婦が共に生活するために必要性があって生じたマイナスの財産も財産分与の対象になります。 そして、財産分与の際に大きな問題になりやすいのが、居住しているマンションなどの不動産と住宅ローンです。

 

マンションの評価額

マンションの場合、金銭的な価値(評価額)を明らかにした上で、分け方を決めることになります。 マンションの評価額は公示価格などを調べれば、ある程度まで知ることができます。公示価格は国土交通省が発表するもので、毎年1月1日時点の標準地の価格です。公示価格は土地の取り引きや資産評価の指標となり、標準価格とも呼ばれます。 自分で調べることが可能とはいえ、不動産の知識をそれほど持たない方の場合、専門家にマンションの査定を依頼する方がよいでしょう。その方が将来のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

具体的には、不動産会社の無料査定を利用したり、不動産鑑定士に鑑定を依頼する方法があります。

 

マンションの分け方

マンションの評価額が明らかになったら、それをどのように分けるのかを決定します。分け方としては、マンションを売った代金から売却経費を差し引いて分けたり、マンションを夫婦どちらか一方の所有とし、もう一方に評価額に相当する財産を渡したりする方法があります。

 

夫名義のマンションに妻子が住み続ける

比較的多いのが、転校などによって子どもの生活環境を変えないため、離婚後も夫名義のマンションに妻子が住み続けるケースです。 この場合、妻はマンションの名義を持ちませんが使い続ける権利を持ち、離婚した夫に使用料を支払っていく方法が一般的です。これにより、妻は夫のローン返済に協力していくことになります。 また、マンションを共有名義にし、分与した割合に応じて持ち方を決めるという方法もあります。 ただ、いずれの方法を取った場合でも、マンションを売却するには互いの合意が必要となります。売却が難しくなる恐れも承知した上で、選択すべきです。

住宅ローンの分与

財産分与では住宅ローンなどマイナスの財産も対象になります。気をつけたいのは、マンションと住宅ローンの名義が夫婦のいずれか一方であっても、離婚するとローンの残債が夫婦の共有財産となることです。

住宅ローンの分与では、まず、マンションを売却したときの評価額とローン残高を明らかにし、その差額を算出します。

マンションの評価額 > ローン残高

マンションを売却したときの評価額がローン残高を上回る場合は、評価額からローン残債を差し引いた額を夫婦で分け合うことになります。

マンションの評価額 < ローン残高

マンションを売却したときの評価額がローン残高を下回る場合に取る手段としては、離婚前にマンションを売却してローン返済に充て、足りない分を他の共有財産で補填し、ローンを完済する方法があります。 共有財産が少なく、ローンを完済できないケースでは、マンションの売却は難しいでしょう。その場合、売却せずにマンションの名義人が所有し続け、ローンを単独で支払い続けるのが一般的です。 また、マンションの名義も住宅ローンの名義も夫になっているケースで、マンションの名義を妻に変更し、ローンは夫が離婚後も支払い続ける形もあります。

住宅ローンが残っているマンションの売却

すでに述べたように、住宅ローンの残債があったとしても、売却代金で一括返済できるなら売却に問題はありません。金融機関がマンションに設定した抵当権は、住宅ローンを完済すれば抹消できます。 マンションを売却するときには、大きく分けて2つの方法があります。

仲介

一般的な不動産の売却方法は仲介です。仲介の依頼を受けた不動産会社が物件の売却活動を行い、買主様を探してくれます。 なお、仲介によって売買が成立した場合、不動産会社に仲介手数料を支払わなくてはいけません。

買取

不動産会社に物件を買い取ってもらいたい場合は、査定を受けることになります。その結果、納得できる査定額が示されれば、すぐに買取の手続きに入ります。 離婚に伴う慰謝料の支払いなどにより、すぐに現金を手に入れたいときには、買取が有力な選択肢となります。 しかし、買取の場合、仲介と比べて売却金額が安くなることは覚悟しなければなりません。離婚後の生活に少しでも余裕を持たせるためにも、買取は最後の一手と考え、まずは仲介によって高額での売却を目指すべきでしょう。

オーバーローンの対処方法

マンションの売却代金だけではローンを完済できない状態をオーバーローン(債務超過)といいます。 ローンを完済できなければ抵当権を抹消できません。抵当権が残ったままの不動産に買主様が現れることはあまり期待できません。抵当権が設定されたままの抵当物件は、元の所有者がローンの返済を滞納したり債務整理を開始したりしたとき、競売にかけられる恐れがあるからです。 では、オーバーローンのマンションを売却することは不可能なのでしょうか。

 

マンションの売却代金でローンを完済できないオーバーローン(債務超過)の状態になってしまうと抵当権を抹消できず、
一般的に買い手がつくことが難しくなってしまいます。ローンの支払いが難しくなっても競売を避けるための手段として任意売却の道も探ってみましょう。

貯金・住みかえローン

すでに説明したように、オーバーローンのマンションでも、離婚前に売却して代金をローン返済に充て、足りない分を他の共有財産で補填する方法があります。 別の方法として、金融機関の住み替えローンを使えることもあります。住み替えローンを利用するためには、離婚の準備と並行して新居を探し、売却と購入の日程を調整するなど大変な手間がかかります。早めに不動産会社に相談するとよいでしょう。

任意売却

任意売却とは、住宅ローンを返済できなくなった場合に取られることがある売却方法のことです。通常、住宅ローンを支払えなくなるとマンションは差し押さえられ、競売にかけられてしまいます。この競売を避けるための手段が任意売却です。

ローンの滞納がどうしても解消できず、なおかつオーバーローンの場合、不動産会社や弁護士などが金融機関と折衝し、任意売却の道を探ります。 任意売却は競売より高く売れる可能性があるほか、売買契約の締結日や物件の引き渡し日について、ある程度の希望を通すこともできます。 もちろん、任意売却で返しきれなかったローンの残り部分は、返済を続けなければなりません。 任意売却には金融機関の協力が不可欠であり、利害の調整が簡単ではありません。しかし、離婚などやむを得ない事情でローンの返済が難しい場合は、任意売却が認められる可能性があります。困った場合はためらわずに不動産会社の担当者などに相談してください。

名義の変更

財産分与によって得た財産の名義変更は義務ではありません。共有財産の分け方について夫婦が合意すれば、所有権は移ります。 住居として使うだけなら、相手名義のままにしておき、自分が住み続ける権利を保障させた方が得な場合もあります。不動産を使う権利は、住んでいる人の方が所有者より優先されるため、むやみに追い出されることはありません。 しかし、相手名義のままのマンションを取り上げられるリスクはゼロではないため、心配なら法律の専門家に相談すべきです。相談の結果、自らの所有権を守るために、名義を変更するようにアドバイスされることもあります。

 

名義変更の費用

マンションの名義変更には費用がかかります。登記のために登録免許税がかかるほか、登記を司法書士に依頼すれば報酬が発生します。また、マンションが自分名義になれば、毎年の固定資産税が課税されるようになります。 だからと言って、費用を節約するために登記しなければ、そのマンションを売買できず、融資を受ける際の担保にもできません。 財産分与によって得た相手名義のマンションを資産として活用する計画があるなら、登記した方がよいでしょう。

想定外の出来事に備えて

夫婦で生活するためにマンションを購入するとき、離婚まで想定する人は多くないでしょう。離婚と財産分与という予想外の出来事によって、マンションの処分を考えざるを得なくなることがほとんどです。

当事者はマンションの評価額を出したり、売却するなら不動産会社を決めたりと、短期間で多くのことをこなさなければなりません。ましてや、離婚の相手を長く待たせるわけにもいかず、ストレスを抱えながら手続きを進めることになります。 しかも、不動産売却は不動産のプロにとってさえ大変な仕事です。その一連の作業を不動産売買の経験がない個人が行うのは難しいでしょう。 だからこそ、信頼できるパートナーとしての不動産会社が必要です。マンション売却の可能性が少しでも出てきたなら、不動産会社の情報を収集したり、無料相談を利用したりするのもよいでしょう。

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