予算を決めよう!&購入後にかかる費用を想定しておこう!
目次
住宅購入の予算と購入後の費用
自分の住まいとして一戸建てやマンションを選ぶときには、無理なく出せる金額がいくらなのかをしっかりと考えておくことが大切です。 新しい家で始まる暮らしの先を見据え、資金計画を慎重に立てるようにしましょう。
無理のない資金計画を立てる
豊かさを生む余裕
限度いっぱいの借り入れをしてマイホームを手に入れたとしても、むだ遣いをやめて切りつめることばかり考える暮らしになってしまいます。余裕のある資金計画を立てることで、たまには家族とレジャーを楽しめるくらいのゆったりとした生活を送れるようになります。
退職後も視野に入れる
住宅ローンを退職金で一括返済する資金計画を立てるなら、その先の暮らしへの影響について具体的に計算するようにしてください。 また、年金が主な収入になってからもローン返済が延々と続くような資金計画は老後資金の確保に影響を及ぼす恐れがあるため、注意深く検討すべきでしょう。
住宅購入は目的ではない
家族が理想とする生活を実現するため、住まいが重要な要素になることは確かです。そうは言っても、家は暮らしの手段であることを忘れないようにしたいものです。 住宅購入が目的になってしまい、不本意な長時間通勤で疲れたり、ローンの返済が精一杯になったりしては、何のためにマイホームを買ったのかわかりません。
想定外も想定しておく
資金計画を立てるときには、想定外のことが起きる可能性は頭に入れておきたいものです。 ご家族のライフイベントや、収入や生活費の変化くらいはものともしない資金計画をして、無理なく住宅ローンを完済できるような見込みを立てたいものです。
将来の収入と将来の支出
マイホームの購入に使う資金は、「現在の預貯金」に「将来の収入の合計」を加え、そこから「将来の支出の合計」を差し引いた金額の範囲内です。それ以上の額を住宅購入に充ててしまえば、必ず生活に無理が生じます。
将来の収入
将来の収入を概算するには、「定年までの平均年収」に「定年までの年数」を掛け、退職金を足します。再就職の見込みがある方はその分を加えられますし、定年がない自営業の方は働く年数を長く設定できます。共働きの家庭は夫婦の将来の収入を合算します。 その結果、将来の収入が不足することが明らかなら、不足分を補う方法を考える必要があります。例えば、転職や副業、妻が専業主婦の場合は働く、教育費の不足を奨学金で補う、といった手段が考えられます。
将来の支出
これから支払っていくお金の柱になるのは住宅資金、教育資金、老後資金の「三大資金」です。三大資金については簡易なシミュレーションをネットで利用できますので、大まかな額をつかんでおくことができます。 将来の支出を考えるときには、予定されるライフイベントをリストアップしていきます。例えば、出産や子どもの進学、自分と配偶者の転職などです。さらに、家族構成の変化や、収入の増加によるライフスタイルの変化、住宅の老朽化なども考えれば、より具体的になります。 三大資金と主なライフイベントにかかる費用を積み上げていくことで、将来の支出の全体像が見えてきます。
「貸してもらえる額」と「返せる額」
住宅購入のために金融機関から融資を受けられる額と、余裕を持って返済できる額は必ずしも一致しません。 金融機関は住宅購入資金として貸し付ける額を決める際、「年収負担率」を1つの目安としています。年収負担率は、1年間のローン返済額を税込み年収で割って算出します。例えば、毎月10万円を返済するなら、1年間の返済額は120万円です。税込み年収を500万円とすると、年収負担率は24%ということになります。 多くの金融機関では年収負担率35%を融資額の目安にしていると言われます。
目一杯借りると余裕がなくなる
年収負担率35%の住宅ローンでは、月々の返済額はいくらになるのでしょうか。年収500万円の人が年収負担率35%のローンを組むと、毎月の返済額は15万円近くになります。年収500万円の手取りが390万~400万円として、12で割ると約33万円です。そこから15万円をローン返済に充てるとなると、生活資金に余裕がなくなってしまうことは明らかです。
手取り年収の3分の1
無理なく支払える住居費は手取り収入の3分の1という話を聞いたことがあるでしょうか。賃貸マンションやアパートを選ぶとき、そのようなアドバイスを受けた方もいるでしょう。 この手取り収入の3分の1を住宅ローンの年収負担率に置き換えると、約20%になります。もう少し返済額を増やして年収負担率25%に引き上げると、返済に回すお金は手取り収入の約40%を占めます。これが生活に無理なく返済できるラインでしょう。
ボーナス返済
ボーナスは企業の業績によって増減します。そのため、ボーナスを計算に入れて住宅ローンの返済計画を立てることには慎重になるべきです。経済状況の急激な変化によって企業の業績が落ち込み、ボーナス返済が難しくなるケースがあるからです。
家計の無理を早めに見つける
住宅ローンを組んで新しい住まいを購入し、新しい生活とローン返済が始まってからも、家計に無理がないかどうかを継続的にチェックしていくとよいでしょう。 現在の家計収支や資産残高に問題がなくても、将来にわたって順調という保証はないからです。家計や資産について小さな無理を続ければ、退職後にお金が足りなくなるかもしれません。 家計収支や資産残高の問題点を可視化できるのが、ライフプランニングです。専門家の助けを借りてライフプランニングを行うことで、早めの対策を取ることができます。
物件価格だけで家は買えない
住宅購入に充てられる資金がわかっても、その資金ぴったりの物件価格の家を探してはいけません。住宅を購入するときには物件価格にプラスして諸費用がかかるためです。諸費用は原則として現金で支払います。
諸費用
諸費用には、住宅購入時の税金や登記費用、金融機関でローンを組むときの保険契約や保証料などがあります。 諸費用のおおよその基準は、新築物件価格の3~7%、中古・新築建売分譲住宅なら物件価格の6~10%です。中古や建売は不動産会社が仲介することが多く、仲介手数料が含まれるため新築より諸費用が高くなります。
頭金
諸費用のほかに頭金も現金で準備することになります。現在は頭金なしで住まいを購入するケースも増えましたが、かつては物件価格の2割程度の頭金を用意するのが一般的でした。頭金を入れれば、住宅購入後のローン返済の負担が軽くなるというメリットがあります。
購入後にかかる税金
固定資産税・都市計画税
住宅を購入すると固定資産税・都市計画税といった毎年の維持費が必要になります。 固定資産税は土地や建物などを所有していると課されます。都市計画税は原則として市街化区域にある土地や建物に課税されます。 一戸建ての場合、マンションに比べて土地の評価が大きくなるため、固定資産税などの負担が重くなることがあります。
固定資産税路線価
固定資産税や不動産取得税などの基準となるのが「固定資産税路線価」です。固定資産税路線価は市町村が公表します。宅地が面している道路の路線価(1平方メートル当たり)に宅地の面積を掛け、さらに事情に応じた補正率を掛けることで、宅地の評価額を算出できます。
住まいの維持費用
マンションの管理費・修繕積立金
マンションの場合には毎月の管理費・修繕積立金を住宅ローンの返済額に加えて支払っていく必要があります。管理費は共用部分の日常的なメンテナンスや、管理人の人件費などに充てられ、修繕積立金は将来の大規模修繕に備えて徴収されます。
共用施設が充実しているマンションでは、相応の管理費がかかります。マンションを選ぶ際には、必要のない共用施設がないかどうかを冷静に見極めましょう。 修繕積立金を徴収されるおかげで、マンションの住民は大型メンテナンスの費用を心配する必要がありません。ただ、修繕積立金は居住期間が長くなると値上がりするのが一般的ですから、注意してください。
一戸建てのメンテナンス費用
一戸建てはマンションのような修繕積立金がなく、外壁補修や設備機器の交換などを自費で行うことになります。そのため、住む人が自ら大規模メンテナンスに備え、費用を計画的に積み立てなければなりません。 防犯対策や庭の手入れ、清掃といった日常の小さなメンテナンスも自分で費用を出して行います。
総コストを把握して資金計画を
一戸建てやマンションの購入を検討する際の無理のない資金計画や、購入後にかかる費用についてご紹介しました。 将来の収入・支出をできるだけ具体的につかむことや、物件価格だけに注目せず将来にわたって家にかかる総コストに関心を持つことが、理想の暮らしにつながります。信頼できる不動産会社の担当者と一緒に検討してみてください。