申し込みから融資実行までの流れ
目次
住宅ローンの申し込み~融資実行の手続きを確認しよう
購入したい物件を見つけたら、金融機関選びから融資実行に至るまで、住宅ローンに関係する手続きを次々と行っていくことになります。一連の手続きと、それぞれのポイントをまとめましたので、参考にしてください。
住宅ローンを組む金融機関を選ぶ
不動産会社に依頼して購入物件を探した買主様には、不動産会社がいくつかの金融機関を選んで提案してくれることが多いでしょう。 金融機関には都市銀行や地方銀行、信用金庫、そしてネット専業銀行など様々なタイプがあります。また、金利や保証料、付帯する保険も多様です。不動産会社のアドバイスを参考に金融機関を絞り込んでください。
住宅ローンの事前審査
事前審査とは
住宅ローンを利用するためには、金融機関による審査に通る必要があります。 審査には、買主様の申告に基づいて簡易な手続きで行う事前審査(仮審査)と、売買契約を結んでから詳細な書類を用いて行う本審査があります。 事前審査に通ることは、不動産の売買契約に進むための前提となっています。 金融機関の事前審査の基準は公開されていませんが、物件の担保価値や買主様の年収、勤続年数、借り入れ状況などを見ることが多いようです。
事前審査に必要な書類
事前審査を受けるためには、物件の担保価値や買主様の経歴を証明する資料を提出します。具体的には、物件の概要がわかる資料を準備したり、金融機関が用意する申込書に記入したりします。また、運転免許証や健康保険証などの本人確認書類、源泉徴収票や課税証明書などの収入確認書類も必要です。
事前審査にかかる期間
事前審査は早ければ2~3営業日で、遅くとも10営業日くらいで完了し、金融機関から結果の連絡があります。事前審査に通ることを事前承認(仮承認)と呼んでいます。
事前承認で融資が決定したわけではない
事前承認を得ても融資が確定したわけではないことに注意しましょう。事前審査を経て売買契約に進み、住宅ローンを正式に申し込んでから融資を断られる可能性もあります。
不動産の売買契約
住宅ローンの事前承認を得てから、不動産の売買契約を結びます。
ローン特約
住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、売買契約書には「ローン特約(融資利用の特約)」が盛り込まれています。この特約は、売主様がローンの本審査に通らなかった場合に契約を白紙解除できるというものです。この特約を付けずに売買契約を結び、ローンを利用できなくなった場合は、契約不履行により、違約金が発生したり、支払った手付金が戻ってこなかったりすることになります。 契約にローン特約が付いていることを必ず確認しましょう。
住宅ローンの申し込み
不動産売買契約の締結後、事前承認を得た金融機関に住宅ローンの本申し込みを行います。複数の金融機関から事前承認を受けた場合は、この段階までに申し込み先を絞り込みます。
本申し込みの準備にかけられる期間
本申し込みのためには、書類を集めるなどの準備が必要ですが、この準備に長い時間をかけるわけにはいきません。なぜなら、売買契約に付いているローン特約には、ローンの本承認を取得する期限である融資承認取得期日が設定されているからです。この期日までに本承認を受けなければ、契約解除となってしまいます。
一般的には売買契約から1ヶ月前後に期日を設けます。住宅ローンの本審査に少なくとも10営業日はかかることを考えると、本申し込みの書類集めにかけられるのは2週間程度ということになります。
本申し込みに必要な書類
住宅ローンの本申し込みには、事前審査よりも多くの書類が必要になります。事前に準備できるものはそろえておくとよいでしょう。ただし、住民票のように発行から期間が経過すると受け付けてもらえないものもありますので、注意してください。 本申し込みに必要な主な書類には、次のようなものがあります。
- 身分証明書
- 健康保険証
- 住民票
- 印鑑証明書
- 収入に関する書類(源泉徴収、課税証明書など)
- 不動産の売買契約書、重要事項説明書 など
他にも多数の書類が必要です。不動産会社の担当者に確認しながら、準備を進めてください。 書類の不備があると審査が遅れ、ローン特約の期限に間に合わなくなる恐れがあります。早めの手配を心がけましょう。
住宅ローンの本審査
買主様が金融機関に本申し込みを行うと、金融機関と信用保証会社による本審査が始まります。信用保証会社とは、借主様が住宅ローンを返済できなくなったとき、返済を肩代わりする会社です。
本審査で何を見られるか
金融機関が本審査でチェックする項目は公開されていませんが、買主様の年収に対する返済の負担割合や、勤務先の情報、借り入れ状況、過去の滞納歴などの個人信用情報、健康状態などを調査するようです。 金融機関による調査結果と買主様の申告内容に相違があれば、それが故意ではない記入漏れであっても心証が悪くなりますので、本申し込みの際に十分に注意しましょう。
本審査にかかる時間
買主様による申告内容に虚偽や大きな間違いがなく、金融機関による調査結果や健康状態などにも問題がない場合、早ければ10営業日くらいで審査結果について連絡があります。 本審査に通ることを本承認と呼び、融資が決定したことを意味します。本承認を受けると、金融機関から融資承認書が発行されます。
団体信用生命保険の審査
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの返済中に借主様が死亡したり重度の障害を負ったりするなど不測の事態が起こり、返済が不可能となった場合、残高相当額の保険金が支払われる保険です。 団信に加入するためには、生命保険会社による審査を通らなければなりません。審査基準は明らかにされていませんが、保険会社は買主様の健康状態などを審査するはずです。 健康上の理由などにより団信に加入できなければ、原則として民間金融機関の住宅ローンは組めません。
フラット35と団信
住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供する全期間固定金利住宅ローン「フラット35」では、買主様の健康上の理由やその他の事情で団信に加入しない場合でもローンを利用できる可能性があります。ただ、団信に加入する場合とは借り入れ金利が異なります。 なお、かつてのフラット35は団信加入を義務付けていませんでしたが、現在は団信の加入に必要な費用を住宅ローンの月々の返済金に含めた団信付きのフラット35が主流となっています。
フラット35の品質検査
フラット35は住宅金融支援機構が定めた技術基準の検査を通った住宅に適用されます。技術基準に適合しているかどうかを調べるため、専門の検査機関や機構の住宅調査技術者が物件を検査します。 新築一戸建ての場合、検査は次のように行われます。
- 設計検査 申請された工事内容について、設計図面を用いて、技術基準に適合していることを検査します。
- 中間現場検査 屋根工事が終了した時点で、申請された工事内容が技術基準に適合していることを検査します。
- 竣工現場検査 すべての工事が終了した時点で、申請された工事内容が技術基準に適合していることを検査します。
- 適合証明書の発行 物件検査の結果、技術基準に適合していると認められると、適合証明書が発行されます。
金銭消費貸借契約
住宅ローンの本審査に通り、融資承認書を受けると、次は金融機関との金銭消費貸借契約の締結に進みます。
金銭消費貸借契約とは
買主様と金融機関が結ぶ金銭消費貸借契約とは、ローンの貸主である金融機関が金銭を貸し、ローンの借主様である不動産の買主様が、借りた分の利息も含めて金銭を返済していく約束です。
契約締結の流れ
金銭消費貸借契約の締結は、平日の金融機関が開いている時間に当事者が金融機関の店舗で行います。契約書の説明を受けてから署名押印をする流れです。
融資実行・残金決済の日程調整
契約締結の際に融資実行と残金決済の日時と場所を決めます。日取りは買主様と売主様、そして金融機関が調整します。 融資実行は金融機関が営業している平日に行われます。当日は融資の振り込みのための手続きがあるため、買主様が住宅ローンを利用する金融機関の支店で行われるのが一般的です。
融資実行・残金決済
融資実行の当日には、契約に従って金融機関から買主様の口座へ入金が行われます。そして、すぐに売主様に残代金を振り込むことになります。これで融資は完了します。 融資実行と残金決済には、登記に関連する手続きにかかる時間を含めて1~2時間ほどを要します。
所有権移転登記・抵当権設定登記
融資実行・残金決済と同日に行われる重要な手続きが、所有権の移転登記申請です。売買によって住宅の所有権が売主様からに買主様に移転したことを登記します。この登記がなければ、第三者に対して自分の住まいであるという権利の主張ができず、不利益を被る恐れがあります。また、住宅ローンを利用して物件を購入した場合は、同時に抵当権設定登記の申請が行われます。 登記は専門家である司法書士に依頼して行うのが一般的です。司法書士は当日中に法務局で申請を行います。申請から2週間ほど経つと、買主様に登記識別情報通知が送られてきます。
スムーズな手続きのために
これで、住宅ローンの金融機関選びから融資実行に至る一連の手続きは完了したことになります。住宅ローンの本申し込みにタイムリミットがあるなど、手続きを迅速に行う必要性がおわかりいただけたでしょうか。書類集めのように、事前に動き出せることには早めに着手し、住宅ローン手続きをスムーズに進められるようにしましょう。