結局、不動産を売るのと貸すのどっちがお得なの?

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様々な理由から所有する家が空き家や空き部屋になってしまう場合、「売る」のと「貸す」のとでは どのような違いがあるのでしょうか。メリット・デメリットについて比較してみました。

住まなくなった家は売る?貸す?

「転勤のため持ち家から引っ越さなければならない」「ライフスタイルの変化に合わせて持ち家から住み替えたい」「都内在住だが、静岡県内にある生家を相続した」といった理由で所有する一戸建てやマンションが空き家(空き部屋)になったとき、あなたならどうするでしょうか。 空き家のままにしておけば家の傷みが早く、特に一戸建ての場合は手入れを怠ることで近隣の住民に不安を与え、防犯・防災の面でも問題になりかねません。

そこで、空き家のオーナー様は家を「売る」か「貸す」かの選択を迫られることになります。 ここでは、家を「売る」「貸す」のメリットとデメリットを見ていきます。

空き家(空き部屋)を売るメリット

不要な不動産を現金化できる

持ち家の住宅ローンが残っている場合、売却価格によってはローンを完済し、身軽になれるかもしれません。ローン残高が少ない家を売却し、まとまった現金を手元に残せる場合は、子どもの教育費や老後の備えに充てることもできます。

維持管理費と手間が掛からなくなる

住宅の売却価格が高くなくても、住宅を所有し続けるより得という考え方があります。なぜなら、不動産を所有しているだけで税金や維持費などが発生するからです。

例えば固定資産税です。固定資産税は毎年1月1日現在に所有している土地や家屋に課される税金です。税額は固定資産課税台帳に記載されている価格の1.4%が基本です。住宅1戸につき200 m²以下の部分の敷地については税額が6分の1になるなどの軽減措置がありますが、それでもまったく活用していない不動産に課税されることに変わりはありません。住宅を売却すれば、この負担がなくなります。

そのほか、市街化区域内の土地や家屋に課せられる都市計画税、電気や水道の基本料金、一戸建ての定期メンテナンスや庭の手入れ、マンションの管理費と修繕積立金などの出費も、住宅の売却によって免れることができます。 その結果、現在の暮らしや将来のために資金を有効に使えます。賃貸に出しても入居者の確保が難しい空き物件の場合、早めの処分も検討するようにしてください。

税制上の特例措置を受けられる

空き家の発生を抑制するため、国は住宅を相続した人にメリットがある特例措置を設けています。 「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」という特例措置で、被相続人(故人)の住まいを相続した人が、耐震リフォームまたは取壊しをした後、その家屋や敷地を譲渡した場合には、譲渡所得の金額から3,000万円を特別控除するというものです。この特例措置によって所得税と住民税を大幅に節税できます。 特別控除を受けるためには、空き家のある市町から必要な書類の交付を受け、確定申告を行う必要があります。

空き家(空き部屋)を売るデメリット

売却価格が安い場合がある

不動産取引が活発な都市部の物件や、特徴のある優良物件、地理的条件に恵まれた物件は高い価格で売却できる可能性があります。しかし、ごく普通の住宅の場合はそうとも限りません。 まず、建築から年数が経っている建物は通常、高い価格で売買されることはありません。土地についても、人口が減少している都市や農村部では、売主様が期待するほどの売却価格がつかないことがあります。

たしかに、公示価格や路線価ではそれなりの価格が付いているケースもありますが、これらは実勢価格とは異なります。 国土交通省が発表する地価公示価格や都道府県が決定する基準地価(都道府県基準地標準価格)は、土地の取り引きや資産評価の指標、経済の動向を示す指標として用いられます。 相続税路線価は相続税・贈与税の算定基準として、固定資産税路線価は固定資産税や不動産取得税などの基準として公表されています。これらに対し、実勢価格(取引価格)は不動産市場で実際に取引されている価格のことです。

売却に掛かる期間が読めない

不動産の売買は売主様と買主様のマッチングによって成立するため、その機会がいつ訪れるのか事前にはわかりません。もし売却に時間が掛かれば、その分だけ税金や維持費が発生し続けることになってしまいます。

売らずに貸すという選択肢

条件に合った買主様がなかなか見つからない物件でも、借主様なら見つかるかもしれません。売却のご縁を待つ間の不動産活用として、または自分が生家に戻って住むまでのつなぎとして、空き家を賃貸に出すオーナー様が増えています。 空き家を貸し出す場合は不動産会社に管理を委託するのが一般的です。通常、家の小規模なメンテナンスや借主様との日常的なやり取りなどは不動産会社が行います。

空き家(空き部屋)を貸すメリット

家賃収入を得られる

空き家を賃貸に出す最大のメリットは、毎月の家賃収入を得られることです。空き家にしたまま税金や維持費を支払っていく場合に比べ、長期的に見て大きな利益を期待できます。

愛着のある家を所有し続けられる

自分が生まれ育った家や子育てをした家に愛着があり、売却をためらう方は多いものです。また、出身地にある家を相続した場合、「いつかは故郷に戻るかもしれない」という思いから家を残したいと考えるケースもよくあります。 そのような家を手放さずに収益を得ることができるのが、空き家を貸し出す大きなメリットです。

資産価値を保てる

大切な資産である家を賃貸に出すことで、空き家のまま放置するよりも老朽化を遅らせることができます。また、自分の財産である以上、その土地と建物を担保に融資を受けることも可能です。さらに、将来は子どもに相続させることもできます。

自治体の支援を受けられることも

全国的に空き家の増加が問題となっているため、国や自治体が対策に乗り出しています。静岡県内でも一部の自治体では、「空き家バンク」に登録された物件を貸したオーナー様に対し、空き家の改修などに掛かった費用の一部を補助する制度があります。

投資用物件として活用する

立地がよい大規模タワーマンションなどに所有する物件を投資用として運用することもできます。 東京カンテイという不動産のデータバンク会社が算出する新築マンションPERという値(2019年)で比較すると、浜松駅周辺のマンションは中部圏で最も収益性に優れたマンションとされています。

新築マンションPERとは、マンション価格がマンション賃料の何年分に相当するかを求めた値です。つまり、投資用マンションの購入金額を回収するために必要な年数を表します。 浜松は新幹線停車駅ということもあり、大半の物件で中部圏平均を上回る賃料水準となっています。そのような要因から、浜松の2019年のマンションPERは13.77と中部圏で最も低くなりました。

空き家(空き部屋)を貸すデメリット

リフォーム費用などが掛かる

空き家を貸し出す場合には、借主様が問題なく使用できるようにリフォームなどの投資が必要になります。また、賃貸に出した後も維持管理費が必要となり、土地・建物に課される税金も納めなければなりません。

借主様の退去で空き家になる恐れ

借主様が退去し、再び空き家(空き部屋)になれば家賃収入が得られません。その後も入居者が見つからなければ、空き家の傷みが進んでしまうかもしれません。

収益物件とみなされ売りにくくなる

一戸建てやマンションの部屋を賃貸に出すと、その物件は居住用ではなく投資用の物件とみなされます。投資用物件ということになると、その物件に買主様が現れても住宅ローンを利用できません。買主様は現金で購入するか、金利が高い不動産投資ローンを利用することになります。つまり、居住用に比べて売りにくい物件になってしまうのです。

住宅ローンが残っている家を賃貸に出す方法

住宅ローンが残っている一戸建てやマンションを賃貸に出すことは原則としてできません。オーナー様が自己居住用として融資を受けているため、その物件を貸し出すことは金融機関と結んだ契約に反するからです。 ただ、住宅ローンが残っていても他人に貸し出せることがあります。

例えば、フラット35を利用している場合です。フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する最長35年の全期間固定金利住宅ローンです。このフラット35を利用して自宅を購入して居住していたところ、やむを得ない事情で居住できなくなった場合、賃貸に出すことが可能です。その家賃収入をフラット35の返済に充てられるため、急な転勤などによるライフプランへの悪影響を最小限に抑えられます。

住宅ローンを組んでいる金融機関によっては、定期借家契約であれば住宅を賃貸に出すことができます。定期借家契約とは契約の更新がない契約で、契約期間が終了した時点で確定的に契約が終了します。つまり、賃貸に出した物件の明け渡しを確実に受けることができます。

更地にするデメリット

空き家となっている一戸建ての管理が大変で、借主様も見つからない場合、建物の解体費用を支払って更地にしようと考える方も多いでしょう。 ただ、土地の上に建っている住宅を撤去すると、固定資産税の住宅用地特例を受けられなくなります。住宅用地特例は、住宅1戸につき200 m²以下の部分の敷地については固定資産税の税額が6分の1になり、200 m²を超える部分については3分の1になるというものです。この特例を受けられなくなることで、固定資産税額が跳ね上がってしまいます。

空き家管理サービス

空き家を売る、貸す以外の方法で「空き家管理サービス」という選択肢もあります。急な事情により空き家になってしまった際や 売るか貸すか決めかねている場合もその間の維持・管理をしてもらえるので資産価値を維持でき、便利なサービスです。

空き家となった一戸建てやマンションの管理を行うサービスが広がっています。急な転勤や高齢者施設への入所などの理由で住まいを空けることになった場合や、相続した家を売るか貸すか決めていない場合などに便利なサービスです。

「売る」「貸す」を成功させる地元ネットワーク

静岡県内でも特に郊外や農村部の場合、住まいの売買や賃貸は地元の買主様や借主様との出会いで成立することがほとんどです。地元の人脈を活かせば、人口が減少している地域に建つ古い家でも売却できる可能性が高まります。 空き家(空き部屋)の「売る」「貸す」を検討されているオーナー様には、地域にネットワークを持ち信頼できる不動産会社を選ばれることをお勧めします。

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