不動産を売却したい!不動産売却の流れを3ステップで紹介
不動産売却の流れを確かめておこう! 手続きのあらましを紹介
不動産の売り出しから引き渡しまで、おおよその流れを頭に入れておくと、スムーズな売却に役立ちます。いつも1歩先をシミュレーションすることで余裕を持って準備を進められ、注意点がはっきり見えるからです。
今回は不動産売却の流れを「不動産を売り出すまで」「売買契約を結ぶまで」「不動産を引き渡すまで」の3段階に分け、各段階で必要な手続きのあらましを紹介します。
不動産を売り出すまでの流れ
信頼できる不動産会社を探す
不動産売買の経験が少ない個人の売主様が物件の売却を目指すなら、まずは信頼できる不動産会社を探さなければなりません。 不動産会社を探すときにはホームページを比較したり、知り合いに紹介を依頼したりする方法が一般的です。大切なのは、候補となる不動産会社を絞ったら実際に訪問してみることです。そして、不動産の査定を依頼したり、売却方法を相談したりする中で、頼れる担当者がいるかどうかを見極めるとよいでしょう。
不動産の査定
不動産の査定には簡易査定と訪問査定があります。 簡易査定とは必要最低限の情報で行う査定のことで、概算の結果を短時間で出せます。 訪問査定は簡易査定と比べると時間がかかりますが、その分だけ結果の精度が高くなります。訪問査定では不動産のプロが現地を調査し、売主様からできるだけ多くの情報をもらって査定に反映させます。
3種類の仲介契約(媒介契約)
信頼できる不動産会社を探し出したら、不動産売却に関する仲介契約(媒介契約)を結びます。仲介契約(媒介契約)には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
一般媒介契約の場合、売主様は複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できます。 専任媒介契約か専属専任媒介契約を選んだ場合、売主様は不動産会社1社のみと契約を結ぶことができ、他社に重複して依頼できません。 各契約では不動産会社が売主様に対して負う報告義務などが異なりますので、確認しておきましょう。
物件の売り出し価格を決める
不動産の売り出し価格は、その物件の近隣にある類似の物件を参考にして決めます。もちろん、売主様の個別の事情も考慮します。 通常、売り出し価格は売却希望額より10%程度高い金額に設定します。売り出した後、購入希望者から値引きを求められることが多いためです。
売買契約を結ぶまでの流れ
購入希望者の内覧
不動産を売り出し、購入を希望する買主様候補が現れると、その買主様候補が物件の内覧に訪れることになります。 売主様は内覧を受け入れるため、時間を確保したり、物件を掃除したりする労力を費やすことになります。しかし、内覧は売却を実現させるための大切なステップです。不動産会社の助けを借りながら、買主様候補によい印象を与えるように取り組みましょう。
購入申込書の受付
物件を内覧した買主様が、物件を購入しようと決めれば、売主様あてに購入申込書を提出します。買付依頼書と呼ぶこともあります。 購入申込書は、物件を買いたいという買主様の意思表示です。購入申込書には希望購入価格や希望契約日、希望決済日(物件の引渡し日)などが書かれています。 購入申込書を受け取った売主様は、自分が仲介契約を結んでいる不動産会社と相談し、買主様に返事をします。こうして価格などの交渉が始まります。
まだ売れたわけではない
購入申込書は買主様の「買いたい」という意思表示に過ぎず、まだ不動産が売れたわけではありません。買主様は別の物件購入に舵を切るかもしれませんし、売主様にもさらに好条件の申し込みがあるかもしれません。 売却先が決まったと思い込まず、売却活動を続けるようにしましょう。
売買契約の準備
売買契約の準備として、売主様と買主様の間で、不動産会社を交えて契約の諸条件を詰めていきます。この段階で交渉する主なポイントは価格、手付金の額、売買契約締結の時期、引き渡しの時期です。
価格の交渉
買主様が購入申込書を提出する段階で、売り出し価格から10%以上低い価格を希望することは、まずありません。 売主様も価格交渉を予想して売り出し価格を設定していますから、不動産会社の担当者の助言を受けて交渉を進めれば、金額について合意に達することは難しくありません。 それでも念のため、大切な資産を必要以上に値引きしない防衛策として、売却額の最低ラインを事前に決めておくとよいでしょう。
手付金の交渉
不動産の売買契約を結ぶタイミングで買主様が売主様に支払うのが手付金です。購入申込書には手付金の支払予定額が書かれています。手付金は一般に売買代金の10%程度と言われています。 手付金の金額が低すぎると、売買契約を結んだ後に買主様が手付金を放棄してキャンセルしやすくなってしまいます。そのため、買主様が示した手付金の支払予定額が少なすぎる場合は、10%を目安に交渉しましょう。
売買契約の締結日の交渉
売買契約の締結日も重要な売買条件です。多くの場合、交渉がまとまってから5日~1週間以内で売買契約を締結します。 契約を結ぶ前に買主様の気持ちが変わってしまうことを防ぐため、契約締結日は先延ばししない方がよいでしょう。
引渡し日(決済日)の交渉
物件の引渡し日(決済日)とは、物件を買主様に引き渡し、売却代金を受け取る日のことです。売買契約の締結後、1ヶ月から3ヶ月ほどに決済日を設定することが多くなっています。 ここで心がけたいのは、売主様にとって余裕がないスケジュールで決済日を設定しないことです。 特に、売主様が現在住んでいる家を買主様に売却し、売主様は別の家に住み替える場合は慎重になりましょう。新しい家が見つからないため引き渡し日を守れなくなると、買主様から損害賠償を求められることもあるからです。 物件の引渡し日(決済日)は新居確保の都合や引っ越し予定を考慮し、買主様側と相談するようにしてください。
売買契約の締結
買主様との交渉がまとまったら、不動産会社が売買契約書を作成します。ほとんどの不動産会社では、売買契約書を一定の基準によって作成しています。契約書に記載すべき事項は宅地建物取引業法で定められています。 売買契約を結ぶ当日には、契約書や重要事項説明書の読み合わせを行った後、売主様と買主様が売買契約書を取り交わします。 契約の締結後、買主様から手付金が支払われます。
契約の締結日に準備するもの
売主様が売買契約の当日に用意するものは次の通りです。
- 印鑑 契約書に押す印鑑です。印鑑は実印である必要はなく、認印でも問題ありません。決済日には実印が必要になります。
- 身分証明書 契約の場にいる人が本当に売主様であることを証明するための書類です。運転免許証や保険証、パスポートなどを用意してください。
- 印紙代 契約書に貼る印紙の代金が必要になります。印紙を貼って割印を押すことで、契約書の作成に伴う税金を国に納めたことになります。印紙の金額は売買代金に応じて定められています。 契約書は売主様分と買主様分を合わせて2通作成するため、印紙も2通分が必要です。印紙代は売主様と買主様で折半しますので、売主様が支払うのは1通分のみです。
不動産を引き渡すまでの流れ
引き渡しまでの準備
売買契約を結んだ後は、不動産の引き渡し(決済)に向けて準備します。様々な書類を準備したり、金融機関に連絡をしたりしなければならず、忙しくなりますが、不動産会社の担当者が細かくアドバイスしてくれますので安心してください。 具体的には次のような準備が必要になります。
- 売主様が住宅ローンを借り入れている銀行への連絡 銀行に対し、物件の売却代金で住宅ローンを一括返済することを伝えます。銀行は完済日までの日割りの金利などを計算し、最終的な返済金額を確定します。
- 権利証の確認
- 印鑑証明など必要書類の用意
引き渡し(決済)
引き渡し日には買主様に物件を引き渡し、すでに受け取っている手付金を差し引いた売却代金を受け取ります。売主様からは領収書を渡し、続いて物件の鍵を買主様に引き渡します。決済によって売買契約は完結したことになります。 決済は通常、売主様と買主様、不動産会社の担当者、登記の依頼を受けた司法書士が、買主様が住宅ローンを組む金融機関に集まって行われます。
仲介手数料の支払い
売主様が仲介契約(媒介契約)を結んだ不動産会社に支払う仲介手数料は原則として、不動産売買の取り引きが完了してから一括して支払います。しかし、不動産会社は売買契約の締結時に仲介手数料の半分、決済時に残金を受け取ってもよいことになっています。
住宅ローンの一括返済
あらかじめ銀行から案内された最終的な返済金額を銀行に支払います。ローンを一括返済したことで、銀行から抵当権抹消書類を受け取ることができます。 決済が行われる銀行(買主様がローンを組む銀行)と、売主様がローンを一括返済する銀行が異なる場合、売主様か司法書士が書類を受け取りに行きます。
抵当権抹消登記
司法書士は物件の所有権移転登記申請と同時に、抵当権抹消登記も申請します。
売却前に流れの再確認を
今回は、不動産の売り出し前から引き渡しに至るまでの流れを3段階に分けて確認しました。 売却の流れと主な手続きを知っておくことで、不動産会社の担当者に任せきりにせず、売主様が主体的に考えられるようになるはずです。 実際に売却に向けて動き出す前に、ぜひ流れをおさらいしてみてください。