満足のいく不動産売却をするための大切なポイント
目次
ローン残債がある家を売却するとき、売主様が知っておくべきこと
住宅ローンの返済中に何らかの事情で住まいを売却しなければならないこともあります。思い入れのあるマイホームを手放すのはさびしいものですが、適切なタイミングに高値で売却できれば、新しい生活のよいスタートにつながります。 ここでは、住宅ローンの残債がある家を売却するときに売主様が知っておくべきことや、確認すべきことをまとめました。
静岡県の不動産市場の状況を知っておこう
まずは不動産マーケットの状況を知り、不動産の価格が決まる背景を理解しておくことです。不動産のプロではない売主様が感覚的に売り出し価格を決めても、その価格が相場から乖離していれば買主様が見つからず、いつまでも売却できないことになってしまいます。
静岡県では1世帯当たり約1.19戸の住宅がある
不動産市場の状況を知るため、まずは住宅の供給量を見てみましょう。 総務省「平成30年(2018年)住宅・土地統計調査」の静岡県分(2018年10月1日現在)によると、静岡県にある一戸建てやアパートなどの総住宅数は約 171 万4700戸(全国10位)で、2013年の前回調査より約5万5400戸(3.3%)増加しました。
総住宅数が総世帯数を約27万8000戸上回り、1世帯あたりの住宅数は約1.19戸となっています。 このように、世帯数より住宅数が多い状況は、静岡県では1968年から続いています。1世帯当たり住宅数は年々増加してきましたが、2013年と2018年はともに約1.19戸で横ばいでした。 なお、全国の総住宅数(2018年10月1日現在)は約6240万7000戸で、2013年比で約2.9%増えました。1世帯当たりの住宅数は約1.16戸でした。
静岡県では1年間に約2万2000戸が着工
次に、新設住宅着工戸数を確認しましょう。 2019年度、静岡県分の新設住宅着工戸数は2万1863戸で、前年度比で約1000戸減少しました。 新型コロナウイルスなどの影響を受けた2020年度は全国的に前年比でマイナス傾向となりましたが、静岡県では月によっては前年比プラスになるなど、住宅需要の底堅さを見せました。
人口は減少傾向
続いて人口はどうでしょうか。 2015年の国勢調査では、同年10月1日現在の静岡県の世帯数は約142万9600世帯で、2010年から約3万世帯(約2.2%)増えました。 しかし、静岡県でも全国と同様に人口減少が始まっています。静岡県の人口は2045年には2015年と比較して20%減少すると予測されています。
これら住宅数と人口のデータから、静岡県内では住宅の供給量が豊富にあると言えるでしょう。
適正価格を知るための現状把握が大切
当然ながら、住宅の供給量が少なく買主様が多い状況であれば、住宅の価格は上がります。反対に、供給量が多く買主様が少なければ価格が下がります。 住宅の供給量と人口動態を見る限り、全国的にも静岡県でも、買主様優位の状況が続きそうです。 このような状況を頭に入れて相場を見ていくことが、適正価格を知るために大切なことです。
売り出し価格は不動産会社の助言を参考に決定
不動産市場の状況を知り、相場もつかめたものの、「やはり思い入れのある家だから」と中途半端な価格で売り出してしまう例もあります。しかし、このような価格は買主様に敬遠されますので、避けましょう。
不動産が立地するエリアや築年数、広さなどで適正価格はだいたい決まっているものです。その価格帯より明らかに高かったり、安すぎたりすると、買主様の注目を集めることすら難しくなります。 価格を決定するときには、経験豊富な不動産会社の担当者のアドバイスに耳を傾けるようにしてください。
高く売却するために、まずやること
このような不動産市場にあって、住宅ローンの債務がある家を適正価格で売却するためには、どうすればよいでしょうか。
住宅ローン残高を確認しよう
何よりも先に行うべきなのは、住宅ローン残高の確認です。続いて住宅の現在の価値を調べることで、売却によって住宅ローンを一括返済できるのか、または完済できないオーバーローン(債務超過)なのかがわかります。ここが、売却の難しさが大きく分かれるポイントになります。 売却代金でローンを一括完済できるとわかれば、売主様の大きな心配が1つ減ることになります。反対に完済できなければ金融機関が住宅に設定した抵当権を抹消できず、売却に大きな支障をきたします。
マイホームの価値を確認しよう
所有している住まいの売却が必要になったら、すぐに不動産会社に査定を依頼しましょう。
多くの不動産会社が無料査定を行っていますので、売主様は簡単に自宅の価値を確かめることができます。 必要最低限の情報に基づいて短時間で行う簡易査定の場合、売主様の所有する不動産と類似の物件が取り引きされた最近の事例をもとに査定価格が出されます。 一戸建ての場合、最近の類似事例から土地1平方メートルまたは土地1坪の単価を求め、その単価に物件の土地面積を掛けて土地の基礎価格を出します。さらにエリアの人気や日当たりなど個別の事情を勘案して価格を調整します。建物については築年数や広さなどを考慮します。 マンションでも最近の類似事例から床面積の単価を求め、基礎価格を計算します。
想定価格を下回った場合
売主様にとってマイホームは、苦労して手に入れ、愛着を持って住み続けた大切な財産です。それだけに、売却のときにはそれなりの価格がつくと期待するのは当然でしょう。 しかし、不動産会社による査定の結果が、売主様が想定していた金額を下回ってしまうこともあります。
特に木造一戸建ての場合は、築30年で価値がほぼゼロになるというのが、不動産市場の常識です。実際、築年数が古くても建物に価値があるとされるのは、有名な建築家が手がけた家や、有名ハウスメーカーなどによるブランド物件などに限られます。
住宅を売却する必要があるにもかかわらず、売却代金でローンを一括返済できないとなると、売却額とローン残高の差額を手持ちの現金で補填する必要が出てくるでしょう。それが難しい場合は、ローンを借り入れている金融機関と相談して返済を継続したり、場合によっては法律の専門家との相談が必要になったりするかもしれません。 いずれにしても各種の専門家と早めにコンタクトを取り、早めに動き出すことが肝心です。
資産価値を維持しやすい長期優良住宅
長期優良住宅は、長期にわたって住み続けるための対策が講じられた優良な住宅のことで、家の資産価値を維持しやすい特徴があります。 長期優良住宅の制度は、家を建てては壊すスクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目的として導入されました。
長期優良住宅の認定制度が始まったのは2009年のため、築年数が経った中古物件はまだ流通していませんが、今後の価格は要注目です。
売却の成功を後押しする最近の動き
20代・30代の持ち家率が上昇
所有する不動産をこれから売り出すなら、買主様になるかもしれないファミリー層のことを知っておきましょう。 総務省の家計調査(2人以上の世帯のうち勤労者世帯)によると、年代別の持ち家率は2002年に29歳以下で18.1%、30~39歳で47.9%でした。ところが、2019年には29歳以下が32.8%、30~39歳が66.4%と大きく伸びました。なお、40歳以上の年代では、このような大きな変化はありませんでした。
若いファミリー層の持ち家率が上昇した理由としては、“超低金利時代”と呼ばれるほど長期間にわたる低金利が続き、住宅ローンの金利が低水準で推移したことがあるでしょう。金融機関が個人向けの住宅ローンに力を入れ、手持ち資金が少ない共働きの若い世帯でも、頭金ゼロで住宅ローンを組むことが珍しくなくなりました。
バブル期には子どもだった現在の30代や、日本経済の“失われた20年“に生まれた20代は「ローンの負担に耐えてまでマイホームやマイカーを欲しがらない」と言われます。しかし、統計から読み取れるファミリー層の姿は必ずしもそうではなく、持ち家志向の人たちも多いことがわかります。
移住先として注目される静岡県
静岡県は移住希望地ランキングで1位になりました。(2020年 認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが窓口相談者に調査) 新型コロナウイルス感染症の影響で在宅勤務が普及し、首都圏からの移住ニーズが増えたことも背景にありそうです。 静岡県や県内の自治体は、都市部からの移住者支援に積極的に取り組んでいるため、移住を希望する人たちに関心を持たれることも多いようです。 マイホームの売却を考えている売主様も、これらの移住希望者にアピールしない手はありません。そのためには、大都市圏に住みながら静岡県の不動産物件を探す人たちに売主様の物件情報が届くようにする必要があります。 とはいえ、特別なことをする必要はありません。不動産会社に物件売却の仲介を依頼すればよいのです。
売却を円滑に進めるために
不動産会社はただ不動産を売買するだけでなく、地域で暮らす売主様の事情を十分に理解し、売却が円滑に進むように様々な配慮をしてくれる存在です。 住宅ローンの返済中に住まいを売却しなければならなくなったときは、信頼できる不動産会社に早めに相談することをお勧めします。