不動産売却時に必ずかかる?登記費用について徹底解説

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不動産の売買でよく耳にする登記。手続きには税金などの費用がかかります。 不動産売却時にはどんな種類の登記があり、どういった意味があるのかなどを詳しく解説します。

不動産の売却に伴う登記とは?

所有する不動産を売却するとき、必要となる登記には所有権移転登記抵当権抹消登記の2種類があります。これらの登記にはどのような意味があるのか? 登記の際に課される登録免許税はいくらか? などについてお伝えします。

登記とは

登記とは、一定の事項を一定の手続に従って登記簿という公の帳簿に記入することです。登記によって財産・人に関する事実・法律関係を一般に公示し、その内容を明確にします。 登記には取り引きの安全を保障するという重要な役割があります。例えば不動産登記では、不動産の権利関係を公示して情報を与えることによって、その不動産の取引関係に入ろうとする第三者に不測の損害が生じないようにしています。 登記は法務省の管轄する登記所(法務局など)で登記官が行います。

登記記録

不動産登記記録は、一筆の土地ごとに、または一個の建物ごとに存在します。 登記記録は表題部(土地・建物の表示)、権利部の2つの部分に分かれています。

表題部には、不動産の表示に関する事項が書かれています。具体的には、土地については所在、地番、地目、地積が記録され、建物については所在、家屋番号、種類、構造、床面積が記録されています。 権利部では、権利に関する事項として、所有権に関する事項(甲区)のほか、所有権以外の権利に関する事項(乙区)が記録されています。

登記簿

登記簿とは、登記記録が記録される帳簿のことです。従来は紙の台帳が法務局に備えつけられていました。しかし、2007年の不動産登記法の改正により、多数の登記記録を集合的に記録した磁気ディスクのことを登記簿と呼ぶようになりました。磁気ディスクも紙の台帳と同様に、その不動産を管轄する法務局に存在します。 登記簿には商業登記簿、法人登記簿、船舶登記簿、その他各種の登記簿があります。その中で特に重要なのは不動産登記簿と、その登記記録です。

登記事項証明書はだれでも取得できる

磁気ディスクに記録された登記記録の内容を紙に印刷し、登記記録の写しに相違ないことを登記官が証明したものが「登記事項証明書」です。 登記事項証明書は誰でも手数料を支払って取得できます。法務局で申請用紙に必要事項を記入して交付を請求すると600円の手数料がかかります。オンライン請求の場合、証明書を郵送で受け取るなら手数料は500円、法務局や法務局証明サービスセンターで受け取る場合の手数料は480円です。

登記の効力で重要なのは対抗力

登記の効力の中で重要なものは対抗力です。対抗力とは、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、(中略)その登記をしなければ、第三者に対抗することができない」(民法177条)という効力のことです。 物件とは所有権や抵当権などのことです。

「物権の得喪」とは、例えば不動産を購入/売却して所有権を得たり手放したりすることです。住宅ローンを完済し、抵当権が消滅することも物権の得喪に当たります。 「登記をしなければ、第三者に対抗することができない」というのは、例えば不動産を購入して所有権を得ても、それを登記しなければ、第三者に所有権を主張できないという意味です。 対抗力は登記を実行すると発生します。対抗力の優劣は受付番号順で定まります。

所有権移転登記

不動産の売買などによって所有権が移転した際に行う登記を所有権移転登記と言います。

  

共同申請

売買による所有権移転登記は、登記権利者と登記義務者が共同で行います。これを共同申請と言います。 登記権利者とは登記上、形式的に利益を受ける人のことです。登記義務者とは、登記上、形式的に不利益を受ける人のことです。売買による所有権移転登記の場合、買主様が登記権利者、売主様は登記義務者となります。

登録免許税

登録免許税は登記の際に課される税金です。税額は登記の種類や原因によって決められています。 例えば、売買による土地の所有権の移転登記では、土地の固定資産税評価額に税率1,000分の20を掛けた額が課されます。最低額は1000円です。なお、2023年3月31日までに登記を受ける場合、軽減税率1,000分の15が適用されます。

抵当権抹消登記

住宅ローンを完済した場合には抵当権が消滅します。 しかし、不動産登記簿から自動的に消えるわけではありませんので 抵当権が消滅したときには、抵当権の抹消登記を申請しなければなりません。

抵当権

抵当権は担保の代表例です。担保は、万が一のときにも債権を回収できるようにする手段です。担保によって、借金をしている債務者がお金を払えない状態になったときでも、債権者は貸したお金を回収できる可能性を高めておきます。 債権者が、物の交換価値を当てにしている場合の担保を物的担保と言います。土地や建物を担保に取り、いざというときにはそれらをお金に換えて債権を回収するのです。このような物的担保を代表するのが抵当権です。

抵当権の契約

金融機関の住宅ローンを利用して住宅を購入する場合、金融機関はその住宅の土地と建物に抵当権を取得しようとします。そこで、住宅の買主様と金融機関がお金を貸し借りする金銭消費貸借契約と、金融機関が抵当権を取得する抵当権設定契約が結ばれます。

抵当権の登記

住宅の買主様と抵当権設定契約を結んでいる人が2人以上いる場合、その人たちの中での優劣は公示の原則で決まります。つまり、住宅を換金したお金から真っ先に配当を受ける抵当権者であることを主張(対抗)するためには、先に抵当権の登記を備えておく必要があります。

  

抵当権設定登記の申請

抵当権設定登記は共同申請で行います。この場合、登記権利者は債務不履行時に優先的に弁済を受けられる抵当権者で、登記義務者は所有する不動産に抵当権を設定する抵当権設定者です。 抵当権設定登記の申請情報には、目的・原因のほか、債権額、利息、損害金、債務者などを記載します。 抵当権の設定登記の登録免許税は被担保債権額に税率1,000分の4を掛けた額が課されます。ただし、個人が2022年3月31日までに住宅用家屋を新築・取得して住むために住宅ローンを組む場合は、軽減税率1,000分の1が適用されます。

抵当権抹消登記

抵当権の被担保債権が弁済などにより消滅した場合、例えば住宅ローンを完済した場合には抵当権が消滅します。被担保債権が存在しなければ、抵当権は存在し得ないからです。 抵当権が消滅したときには、抵当権の抹消登記を申請することになります。 抵当権抹消登記は抵当権設定者が登記権利者となり、抵当権者が登記義務者となって申請します。

登録免許税

抵当権抹消登記の登録免許税は定額課税で、税額は不動産1個につき1000円です。ただし20個を超える不動産について、1枚の申請書で申請する場合には登録免許税は2万円になります。

所有権保存登記

所有権保存登記とは、所有権の登記がされていない不動産に対して初めてなされる所有権の登記のことです。 例えば、住宅の建物を新築した場合、土地家屋調査士が表題登記を申請することで、建物の登記記録の表題部(土地・建物の表示)を設定できます。表題登記の申請は、人で言えば出生届の提出のようなものです。 その後、司法書士が所有権保存登記を申請します。この申請によって登記記録の権利部(甲区)に、建物が誰の所有なのかが記録されます。

登記申請の時期

新築物件の場合、表題登記は所有権の取得から1ヶ月以内に申請する必要があります。しかし、所有権保存登記は申請時期についての制限はありません。

登録免許税

所有権保存登記の登録免許税は、課税価額に税率1,000分の4を掛けた額が課されます。課税価額は、不動産の固定資産税評価額です。 ただし、個人が2022年3月31日までに住宅用家屋を新築・取得して住む場合は、軽減税率1,000分の1.5が適用されます。住宅が特定認定長期優良住宅などの場合、軽減税率1,000分の1が適用されることもあります。いずれの軽減税率の適用を受ける場合にも、登記申請の前に市町村の証明書を添付する必要があります。

不動産登記を自分で申請する

不動産を売却する売主様の中には、不動産登記の申請を自分でやってみたいと考える方がいるかもしれません。 司法書士や土地家屋調査士以外の人が業として登記申請の代理をしたり、申請書を作成したりすることは禁じられています。しかし、自分が所有する不動産の登記申請を自分で行うことはできます。 専門家ではない人にとって難易度が比較的低い登記申請としては、住宅ローン完済時の抵当権抹消登記があります。この登記はそれほど複雑ではないため、不動産の所有者が自分で申請できる可能性があります。 とは言え、ほとんどの登記申請には知識と経験が必要であるため、登記の専門家である司法書士や土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

登記の専門家に委任すべき理由

司法書士は不動産の所有者などから委任を受け、代理人として登記申請手続きをすることを業とする不動産登記の専門家です。 表題登記の申請については司法書士に代理権がなく、土地家屋調査士が専門家ということになります。 不動産の売却に伴う不動産登記の申請をこれらの専門家に任せるべき理由はいくらでもありますが、その一部として次のようなものがあります。

登記申請は不動産取引の一部と言える

売買などの不動産取引は、登記申請と密接に関わっています。不動産取引では登記申請は単なる届け出以上のもので、登記申請そのものが不動産取引の一部としての意味を持ちます。不動産取引を確実に行うためにも、司法書士の働きが不可欠です。

登記申請にも法律問題が隠れている

登記申請は、目の前の手続きを形式的に済ませればよいわけではありません。法律の全体像を理解した専門家が、登記申請の背景にある法律問題にも注意しておく必要があります。思わぬトラブルに遭うことがないように、専門家に相談することが大切です。

不動産会社が紹介する司法書士に相談を

不動産を売却するときに必要となる所有権移転登記や抵当権抹消登記などを例に挙げ、登記が持つ意味や登録免許税についてご説明しました。 不動産登記の申請には複雑な手続きが伴い、体系的な知識が求められます。そのため、不動産売却の際は早めに司法書士に相談するとよいでしょう。多くの場合、売買の仲介を行う不動産会社が司法書士を紹介してくれるので、司法書士の知り合いがいなくても心配はいりません。

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