浜松市沿岸部 地価の下落に歯止めかかるか!? 防潮堤整備計画 最新レポート
2mを越える津波被害を約97%低減!防潮堤整備でリスク回避へ!
地価動向、住宅需要を追い風に地価反転の動き
2011年3月11日の東日本大震災からもうすぐ4年目を迎える。千年に一度と言われる未曾有の大地震は巨大津波を引き起こし、多くの犠牲者出したばかりか原発問題を抱えて計り知れないほどの経済的損失を日本に与えた。この災害は地価にも大きな影響を与えた。地価は静岡、三重、高知などの沿岸部で大幅な下落を招き、東日本大震災の津波リスクを色濃く映す結果となった。
しかし、この11月26日、国土交通省が発表した10月時点の地価動向報告によると、全国の調査対象のうち71%に当たる地区で地価の上昇が確認され、依然上昇傾向が続いていると分析している。
浜松市内で下げ止まり感 中央区・浜名区で上昇も
では、浜松やその沿岸部はどうだろうか? 2013年7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を見ると、全体的に住宅地、商業地はともに下げているものの、下落幅は縮小し、中央区や浜名区の一部では上昇に転じた箇所も見られる。また不動産会社の間では住宅需要の拡大を追い風に「地価は下げ止まった」とみており、地価の底入れムードが広がっている。
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一方、沿岸部は相変わらず下落に歯止めがかからない。価格を大きく下げて売却するケースも見られるが、取引は極めて低調。地元では防潮堤整備にかける期待は大きく「工事の進展に伴って地価の下落に歯止めがかかるのではないか」とみる関係者は多い。
第4次地震被害想定における浸水想定(レベル2津波)
11月29日、静岡県は南海トラフ大地震の第4次被害想定の2次報告を発表した。それによるとマグニチュード9級(レベル2)の南海トラフ巨大地震など県内で考えられる最大級の地震・津波が発生した場合、ライフラインなどの経済被害は最悪で30兆円規模になると試算した。このうち建物や施設などの直接的経済被害は最大23兆8千億円に及ぶと見込んでいる。県はこうした地震の被害を想定して、今後10年間で犠牲者を8割減じる目標を掲げ、防災対策を進める方針だ。
そうした中で、浜松市の防潮堤計画はすでに進んでいる。同構想は東日本大震災の後、一条工務店が300億円の寄付を申出たことから始まっている。
2012年6月11日、一条工務店グループ、県及び市の三者によって「浜松市沿岸域の防潮堤等の整備に関する三者基本合意」が締結され、本市の沿岸域に防潮堤を整備することが決定した。
現在の進捗状況について、浜松市危機管理課津波対策担当課長の山村宜之氏は《浜松市沿岸域防潮堤整備推進協議会【説明資料】》を取り出して次のように話す。
「最初に防潮堤計画の概略ですが、長さは天竜川から今切口までの17.5km、高さは13mとなっています。この高さは、被害想定のL2(レベル2)クラスの地震によっておこる津波被害を未然に防ぐことを目指して決定しています」
静岡県が発表した今回の被害想定では、想定する地震規模を2段階に設定している。レベル2とは、発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらすという地震だ。2012年に内閣府が発表した《南海トラフ巨大地震》を対象としている。そして、現在の防潮堤計画ならば、2mを越える宅地浸水の97%を低減、宅地浸水面積の7割を低減することができるという。
施工区間のイメージ
今回の構造案(CSG+土堤)
構造の考え方/土砂とセメントを混合したCSG堤により、津波波力等に対して安定な構造を確保する。
評価/抵抗性マツ等で保安林を再生することで、保安林機能の維持向上を図るとともに、景観、環境面への影響を最低限に抑えることが可能。
※浜松市沿岸域防潮堤整備推進協議会【説明資料】より
編集協力 静岡情報通信