2014年静岡県西部不動産市場を予測
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品質を見極める目が厳しく、付加価値が問われる時代に。
浜松市の2013年住宅地価格(平均モデル)は、3.3の価格が30万4000円、1画地(62坪)の価格が1885万円。変動率は2012年の0%から2013年は1.0%へと上昇した(表C)。
一方、新築分譲マンションは2013年に浜松市内で5物件288戸が発売され、1戸あたりの価格は3,070万円だった(表B)。中村さんは次のように分析する。「供給戸数は2004年の13棟754戸をピークに数棟で推移し、ここ数年大きな変化はありません。昨年、1戸あたりの価格が大幅に上昇したのは、市中心部の人気物件が高値で売り出され、平均を押し上げた結果です。新築分譲マンションは生活利便性に優れた都心ほど売れ行きがよく、郊外の物件や周辺市町の物件は軒並み苦戦しています」。首都圏、近畿圏では都心好立地の物件に人気が集中し、都心部を中心に用地取得競争が激化。浜松市内でもマンション用地は限られており、今後の供給が気になるところだ。
8%への消費税増税が間近に迫る今、5%が適用される完成済みの建売住宅の販売が熱を帯びている。増税後は住宅ローン減税の拡充(減税の対象となるローン残高の上限を、一般住宅の場合、2000万円から4000万円に引き上げ)の恩恵が受けられるとはいえ、住宅は高額な買い物であるだけに3%の差は大きい。消費税だけでなく、建築コストの高騰で販売価格への上昇圧力も高まっており、早めの購入が得策と考える向きも少なくない。「購入側の建物の品質を見極める目が磨かれてきて、本当に納得したものでなければ買わない人が増えています。また、価格面でもシビアになっていて、お得な物件を探す熱意は従来以上。価格交渉も日常的となり、値下げは無理でも、サービスで家具やカーテンを付けたり、設備をグレードアップしたりするケースが見受けられます。一方、売り手側はスペックを落とさずに、いかに買い得感を出すかが勝負どころ。太陽光発電システムや蓄電池を標準装備した建売住宅、ペットとの同居が可能な新築分譲マンションなど、立地や周辺環境以外の付加価値が集客のポイントとなりそうです」と中村さん。売り手は買いやすい状況をつくり、買い手は付加価値に注目して前向きに買う。買い手が選択できる時代になるというのが中村さんの見解だ。
浜町市の新築分譲マンションの推移(表B)
住宅地価格(浜松市の平均モデル)(表C)
一条レジデンス浜松
JR浜松駅から徒歩5分。駅前立地と高い防災機能を備えた免震マンション「一条レジデンス浜松(全65戸)」
プレミスト浜松
浜松市中区中央1丁目に誕生したダイワハウスの免震タワーマンション「プレミスト浜松中央タワー(全115戸)」
本格的な回復に期待が高まる。実体経済と金利動向に注目。
今年4月からの消費増税に続き、2015年には消費税が10%へ引き上げられる可能性がある。住宅ローンは現在、優遇を受ければ変動型なら1%を下回る水準で借りることができるが、市場金利が上昇すれば連動して上がる。30年以上にわたって続いてきた金利の下降トレンドが終わり、今後は上昇に転じると見る専門家も少なくない。消費税や住宅ローン金利が上がる前にわが家をと考えるのは当然だ。これからマイホームを購入する人に向けて、中村さんにアドバイスしてもらった。「浜松市内、特に中心部の住宅地は今が底値。よほどのことがない限り、上がることはあっても下がることはないでしょう。供給サイドはリーマンショック後に塩漬けにされていた物件を市況改善に合わせて売りに出し、買い手は選択肢が広がるはず。悲観する要素はないので、前向きに検討し、納得して購入してほしいですね」
不動産市場の回復が期待される中、今後の市場の行方はやはりアベノミクスの成果にかかっている。「3本の矢」のうち、金融緩和やインフラ整備は比較的簡単にできても構造改革は容易ではない。構造改革を含む成長戦略により、センチメントだけでなく、実体経済の改善へつなげることが重要だ。雇用が上向き、所得が増えれば将来の見通しが立つ。2014年が安心して住宅を購入できる年になることを願い、今後の動向を見守りたい。
編集協力 静岡情報通信