住宅ローン選びで金利以外に注目すべきポイント
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金利以外にも注目すべき住宅ローン選びのポイント
住まいを購入するとき、ほとんどの買主様は住宅ローンを利用します。住宅ローンにはいくつもの種類があるため、ニーズに合ったものを選ぶことが大切です。 住宅ローンを選ぶ基準として多くの方は金利を重視しますが、買主様(住宅ローンの借主様)に最適なプランを選ぶためには金利以外にも考慮すべきことがあります。
今回は、金利以外に注目すべき住宅ローン選びのポイントをご紹介します。
どの窓口に相談するか
住宅ローンには大きく分けて民間融資と公的融資があります。民間融資は都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、JA、生命保険会社などが取り扱っています。公的融資には財形住宅融資や自治体住宅融資があります。 民間融資の方が取り扱い機関の数が圧倒的に多く、商品の種類も豊富なため、民間融資を利用する買主様がほとんどでしょう。
では、非常に種類が多い民間融資の住宅ローンを利用するためには、どの窓口に相談すればよいのでしょうか。
不動産会社
信頼できる不動産会社があり、すでに住まい探しの相談を始めている場合は、その流れで住宅ローンについても不動産会社に相談するケースが考えられます。
多くの不動産会社は金融機関と提携し、住宅ローンを紹介しています。不動産会社を通すことで、金利優遇などを受けられることもあります。
店舗型の金融機関
店舗型の金融機関は対面式で相談に応じてくれるため、買主様の手間や労力を最小限に抑えることができます。 買主様の収入や勤務形態などの情報を基に、いくらくらいのローンを組めるのかを知りたい場合は、金融機関に直接足を運ぶのがよいでしょう。平日に窓口へ行けない場合は、週末や祝日の相談会を利用できます。 ただ、店舗型の金融機関はサービスが充実している分、ネット銀行と比べると金利や保証料が高めに設定されている傾向があります。
インターネット専業銀行
店舗を持たないインターネット専業銀行は、申し込みから審査までがオンラインで完結します。 ネット専業銀行は店舗を持たない分だけ運営費を抑えられるため、金利や保証料などが低い傾向にあります。ただし、審査のハードルが高いこともあります。 店舗がないだけに、担当者に対面で相談できず、店舗型に比べるとサポートにも限界があることがデメリットです。その点、自ら情報を調べ、率先して行動できる買主様には向いていると言えるでしょう。
公的融資
公的融資には財形貯蓄を利用している会社員を対象にした財形住宅融資と、一部の自治体がその自治体に暮らす人のために設けている自治体住宅融資があります。
財形住宅融資
財形住宅融資は、財形貯蓄を利用している人が利用できる公的融資です。企業が導入している福利厚生の一種であるため、個人で加入することはできず、勤務先の会社を通して加入します。 財形住宅融資を利用できるのは財形貯蓄を1年以上行い、一定条件を満たした人です。5年ごとに適用金利を見直す5年間固定金利制になっています。
自治体住宅融資
自治体住宅融資は都道府県や市町村が申し込みの窓口になる住宅融資です。融資の内容は自治体によって異なり、制度を設けていない自治体もあります。自治体が民間ローンを斡旋し、利息の一部などを補助する形式もあります。
フラット35
フラット35は住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供する全期間固定金利住宅ローンを指します。住宅金融支援機構が定めた技術基準の検査を通った住宅に適用されます。 全期間固定金利だけに、民間金融機関のローン商品に比べて金利が高めですが、長期優良住宅の場合は金利優遇を受けることができ、民間商品より有利になることもあります。 以前のフラット35は団体信用生命保険の保険料を別途支払う必要がありましたが、現在は団信生命保険特約料が返済額に含まれるようになりました。
【フラット35】S
【フラット35】Sは、省エネルギー性や耐震性が高い住宅を取得する場合に、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。中古住宅を購入する場合にも利用できます。
金利以外にかかるお金は
ローンを比較する際には、金利だけを基準に比較しないようにしましょう。 保証料や事務手数料、団体信用生命保険料などの諸経費は、住宅の購入代金に比べれば少額に見えますが、チェックしておきたい項目になります。 金利以外の費用には次のようなものがあります。
保証料
保証料は、借主様が返済できなくなったときにローンを肩代わりする保証会社に支払う費用です。保証料の支払い方法には一括払いや金利上乗せなど、様々なタイプがあります。なかには保証料が不要な住宅ローンもあります。
事務手数料
金融機関から融資を受ける際に支払う手数料です。 事務手数料は店舗型の金融機関よりもネット専業銀行の方が安い傾向にあります。
団体信用生命保険料
団体信用生命保険は、住宅ローンの返済中に借主様が死亡したり重度の障害を負ったりするなど不測の事態が起こり、返済が不可能となった場合、残高相当額の保険金が支払われる保険です。保険料の支払い方法は、金利に上乗せされるタイプが多くなっています。
住宅ローンと合わせて考えたい保険
団体信用生命保険
団体信用生命保険(団信)は万が一のとき、家族にとって心強い保険です。住宅ローンでは団信への加入を条件にしているプランがほとんどです。 団信の保険料は金融機関やローン商品によって異なるため、自分に合っているものを選ぶ必要があります。 また、金利だけなら返済額が少なく見える住宅ローンプランが、団信の保険料を加えると他プランより返済額が高くなることもあります。目先の金利に惑わされないように注意しましょう。
保険のかけすぎに注意
万が一のとき、すでに加入している生命保険の保険金でローン返済を考えているのなら、団信への加入は必要ありません。現在加入している生命保険と団信の補償内容が重複し、毎月の保険料が余計にかかってしまう恐れがありますので、確認するようにしましょう。 団信に加入する場合は、現在の生命保険の見直しを検討しましょう。トータルの保険料が下がれば、その分を住宅ローンの繰上げ返済に充てることもできます。 住宅ローンの利用開始を機会に、保険を整理するとよいでしょう。
就業不能保険
住宅ローンの返済が難しくなる要因は、ローンの借主様の死亡だけではありません。病気やけがで働けなくなったときのことも想定しておきましょう。 病気やけがで長期入院を余儀なくされ、働けなくなった場合に備えるのが就業不能保険です。働くことができず収入が途絶え、公的保障(傷病手当金や障害年金)だけでは毎月の生活費をまかなえないケースを想定しています。特に、自営業の方は会社員の方と違って傷病手当金がなく、働けなくなればすぐに収入が途絶える恐れがあります。 生活費に支障が出るようでは住宅ローンの返済はなおさら難しくなります。そこで、就業不能保険に入っておけば、住宅ローン返済を滞らせることなく生活を続けられる可能性が高まるというわけです。
住宅ローンの事前申し込み
住宅ローンの候補をある程度絞り込んだら、事前申し込み(仮申し込み)を行います。申し込み先は多ければよいというわけではなく、5機関くらいがよいでしょう。
「貸してもらえる額」と「返せる額」は違う
金融機関が「貸してくれる額」と、借主様が余裕を持って「返せる額」が必ずしも同じではないことに注意しましょう。 金融機関が住宅購入資金として貸し付ける額、つまり「貸してくれる額」を決めるときには、「年収負担率」を1つの目安としています。多くの金融機関では年収負担率35%を融資額の目安にしていると言われます。 この年収負担率35%とは、どのような数字でしょうか。
年収負担率は、1年間のローン返済額を税込み年収で割って算出します。例えば、毎月10万円を返済するなら、1年間の返済額は120万円です。税込み年収を500万円とすると、年収負担率は24%です。 年収負担率35%の住宅ローンということになると、税込み年収500万円の人が毎月15万円近くを返済することになります。年収500万円の手取りが390万~400万円として、12で割って1ヶ月分を出すと約33万円ですから、毎月15万円の返済は負担が大きいことがわかります。
つまり、金融機関が貸してくれるからと言って、目一杯の金額を借りてしまうと、余裕をもって返せる額ではなくなるということです。借り入れ額を検討するときには注意しましょう。
お金の専門家にアドバイスを求める
金融機関の特徴や保証料などの費用、保険など、金利以外に注目すべき住宅ローン選びのポイントをご紹介しました。さらに、融資までにかかる時間なども踏まえて、借主様にマッチした住宅ローンを選ぶようにしましょう。
住宅ローンを選ぶことは、住まい探しと同じくらい大きな決断です。詳しい解説や最新の情報を参考にしたいなら、お金の専門家にアドバイスを求めるのがよいでしょう。例えば、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談することでローン選びの労力を最小限にしつつ、返済総額を抑えられる最適なプランを組むことができます。専門家に相談するためには費用がかかりますが、長い目で見ればプラスになるはずです。
相談先を探す時には不動産会社に紹介を依頼するのもよいのですが、別のルートで選んだFPに相談することで第三者の客観的な立場から意見をもらうのもよいでしょう。