不動産の確定申告ABC -知ってお得!税金が戻ってくるetc-
目次
上手に還付を受けるために注意すべきポイント
はじめに、住宅ローン控除を利用する際の注意すべきポイントをいくつか挙げておこう。
まずこの制度は、最初の年の確定申告で認められても、そのまま10年間継続できるとは限らない。例えば途中でマイホームを人に貸したり、所得が3,000万円を超えるなど条件を満たさなくなると、その年は控除が受けられない。
第2のポイントは、買替えのケース。マイホームを売却する時には『3,000万円控除』という特例があり、マイホームを取得した年と、その前後2年づつの5年間にこれを利用するとローン控除は使えない。
第3のポイントは、長期優良住宅を取得した場合。住宅ローンを借りているにもかかわらず『認定長期優良住宅新築等特別税額控除』の適用を受けると、住宅ローン控除は使えない。ケースにもよるが住宅ローンを借りている場合にはローン控除を使った方が控除額が大きく有利なので注意したい。制度の目的である住宅ローンを借りていない人には大きなメリットなので、大いに利用したい。
第4のポイントは、共有名義のケース。夫と妻がそれぞれの名義でローンを借りて1軒の家を買ったなら、それぞれのローン残高に対して、それぞれの所得税額から控除が受けられる。
『ローン控除』に必要な書類と入手先は次ページの通り。税務署は還付申告なら書類さえ揃えれば2月16日以前にも受付けてくれるので、早めに申告すれば混雑が避けられ手続きはスムーズに進むだろう。
サラリーマンは2年目から年末調整で還付
住宅ローン控除については、サラリーマンの場合は、一度申告しておけば、2年目以降は税務署から送られてくる控除の申告書と証明書に金融機関発行の「年末残高証明書」を添えて勤務先に提出すれば良い。勤務先の年末調整で控除が受けられるので簡単だ。
ローンを借りた 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)<10年間控除>
住宅ローンを組んで、住宅(新築・中古)を取得・増改築したときに利用できるのが『住宅借入金等特別控除』いわゆる住宅ローン控除だ。
一般住宅の場合なら、表2のとおり。返済期間10年以上の住宅ローンを借りた場合、年末の時点で住宅ローン残高(平成23年分は4,000万円が上限)の1%を10年間にわたって所得税額から控除できるというもの。つまり年間で最高40万円(10年間で最高400万円)まで控除されるわけだ。
長期優良住宅になると、住宅ローン残高の限度額は5,000万円になり、年末残高の1.2%が控除できるので年間で最高60万円(10年間で最高600万円)まで控除される。
控除が受けられる条件は、年間の所得金額が3,000万円以下の場合で、これを超えるとその年はローン控除は受けられず中断される。
通常サラリーマンの場合なら、源泉徴収によって税金を納めているので、マイホームを取得した年は、年末調整を受けた後に、申告によって税金の払い戻しが受けられる。このとき所得税で控除しきれなかった金額がある場合は、地方税である個人住民税からも控除(最大97,500円)することができるので覚えておこう。
戻ってくる税金はいくら?源泉徴収票で所得税を確認
自分が受けられる減税額を知りたい場合は、「源泉徴収票」を見ると見当がつく。毎年1月ごろになると勤務先から配布されるので「源泉徴収税額」を確認すればいいだろう。
ローンを借りた 特定増改築等住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)<5年間控除>
住宅ローンを利用して、バリアフリー改修工事や省エネ改修工事を含む増改築工事を行なった場合には、一定の要件を満たすことで所得税の控除が受けられる。それがこの『特定増改築等住宅借入金等特別控除』制度だ。
控除額は、表2のとおり。最高12万円を限度に5年間にわたって控除されるので合計で最高60万円が控除される。
一定の要件とは、表2で示したもののほか、バリアフリー改修工事の場合には、50歳以上の者、または介護保険法に規定する要介護または要支援の認定を受けている者をはじめ、高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造・設備を備えた修繕・模様替えを行なった場合などとなっている。
また断熱改修工事の場合には、居室のすべての窓の改修工事、またはその工事と併せて行う床、天井、壁の断熱工事など、省エネ性能が平成11年基準以上となるよう、改修前と比較して一段階上がる性能が求められている。これらの要件を満たしていれば所得税の控除が受けられるので大いに利用したい。ただし平成23年6月30日以降は、工事費用に関して国などから補助金等の給付を受ける場合はその額は控除する必要があるので注意しよう。
編集協力 静岡情報通信