東日本大震災や大型台風、円高など苦難の続いた2011年は不動産市場も低迷し、静岡県西部の地価も全体に下落傾向だった。 2012年は一転、回復してくことが予想される。土地の仕入れ値が安くなっているため価格も手頃。ただし、人気の立地の物件は すぐに売れてしまうので早期に手を打つことが重要だ。

どうなる!?2012年不動産の地価と市場動向「手頃な値段で好物件を買うチャンスの年!?」

公開日時: 更新日時:
不動産鑑定士 中村進一郎さん
濱松不動産鑑定株式会社
不動産鑑定士 中村進一郎さん

多くの尊い命が犠牲になった東日本大震災、各地に甚大な被害をもたらした大型台風、海外に目を向ければ欧州危機、円高など、試練の連続だった2011年。
日銀は先月、足元の景気について「設備投資の増加など持ち直しの動きが続いているものの、そのペースはゆるやか」と分析した。不動産市場も低迷し、静岡県西部の地価は全体的に下落傾向が続いている。しかし、エリアごと細かく見てみると上昇に転じている地域もあり、個人消費の底堅さを背景に今後の回復が期待できそうだ。
昨年を振り返るとともに2012年の不動産市場動向を予測しようと、濱松不動産鑑定株式会社の不動産鑑定士、中村進一郎さんに話をうかがった。


1年間で約1%の下落取引は低調で終始

図1 沿線別宅地価格(平成24年1月1日現在)
図1 沿線別宅地価格(平成24年1月1日現在)

住宅地価格(浜松市の平均モデル)(表1 ) 静岡県西部の住宅地価格はこの1年で約1%下落。

濱松不動産鑑定株式会社が作成した平成23年12月1日現在の沿線別宅地価格(図1)によると、静岡県西部の住宅地価格はこの1年で約1%下落した。また、浜松市の平均的な住宅地価格(表1)は、3.3m²あたり30万1,000円、1画地(62坪)の価格は1,866万円で、変動率はマイナス1%。最近で比較すると、下げ幅は縮小しているものの、価格は平成11年以降最安値となった。中村さんは2011年を次のように振り返る。

「昨年は低調で推移した一年間でした。顧客は目線を下げていて、購入物件に対してこれまで以上に慎重な姿勢を見せています。“今すぐ買いたい”という特別な事情か、強い欲求がない限り、なかなか決断に至らないのが現状ですね。一方、供給側は仕入れに慎重。模様眺めをしている企業が多く、不景気もさることながら供給過少が市場活性化の足かせになっているように見受けられます」

昨年3月11日に発生した東日本大震災では津波被害の報道に全国が震撼。特に沿岸部の住民は、“他人ごとではない”という危機感を抱いたはずだ。震災が地価に与えた影響はどうだろうか。

震災を境に沿岸部の取引が減少、回復までには時間が…

「3.11を境に、海抜4m以下で沿岸から2km圏内の地域では軒並み成約が減りました。浜松市内では遠州浜や中田島、近隣では竜洋、福田が深刻です。避難経路の徹底や高台避難場所の確保など行政の対応が進めば徐々に持ち直すと思いますが、あと2~3年は時間がかかるでしょう。また、今回の震災では液状化による被害も報道されましたが、意外に購入者は地盤に対してそれほど神経質になっていません。その証拠に、佐鳴湖に面した富塚の分譲地の販売は好調で、地盤補強への信頼と生活利便性、周辺環境の良さで集客できているようです」。土地へのニーズがあって販売プロモーションが優れていれば確実に売れるというのが中村さんの見方だ。

中区人気が目立つ浜松市、佐藤や寺島の分譲地が好調

では、浜松市内の取引状況をエリア別に見ていこう。

まず、中区。中村さんは「底堅さから値上がりしている地点も見られ、佐藤では10万円/m²~、寺島では12万円/m²~取引されています。葵西や高丘も引き合いが多いですね。“中区に住みたい”という人が多いのに対して、ほどよく区割りできる分譲地が少ないのが悩みの種ですが、潜在ニーズがある限り、出せば売れると考えてよいのではないでしょうか」と説明する。

平成23年:浜松市土地取引件数の推移。中区が人気トップ。

東区は大半が下落し、篠ヶ瀬、薬師、天王でマイナス。半田山もかつてのような勢いは見られない。西区は坪39~40万円の大平台以外は軒並み低調。特に入野や志都呂で下げ幅が目立っている。北区は取引が薄いが、大手企業の工場進出が予定されている都田は活況が期待される。

「浜北区は貴布祢と横須賀で値上がりし、貴布祢は10万円/m²で取引されています。一方、南区ではこれまで堅調だった本郷や安松で値下がりしています。下落とは無縁のエリアだっただけに、今後の動向を注視したいですね」と中村さん。
こうして見ると、沿線だから人気があるとか、幹線道路沿いが堅調というわけではなく、ピンポイントで売れたり、売れなかったりしていることがわかる。物件を一つひとつ検討して掘り出し物を見つけたいという心理を反映しているようだ。中村さんは続ける。「今後の注目エリアとしては、遠鉄電車の高架化によって東西の交通アクセスが向上する上島、早出。この一帯は上島駅前の再開発も進行中で、人と車の流れがどう変わるのか楽しみです。

浜北区貴布祢。鉄道駅も近く、地盤もよい、商業施設が身近にあり、利便性も高い。
浜北区貴布祢

浜北区は住宅地を中心に引き合いが多い。特に小松や貴布祢、横須賀は鉄道駅に近く、地盤も良いことから堅調だ。商業施設「プレ葉ウォーク浜北」が身近にあり利便性も高い。


来年夏には新東名高速道路(第二東名)の引佐JCTと御殿場JCT間が供用開始となりますが、こちらは部分開通なので、経済効果が出るのはもう少し先になりそう。ただ、浜北IC(中瀬南部地区)へのアクセス道路である国道152号や天竜浜松線(都市計画道路)沿線は利用者を見込んだ出店計画もあり、注目したいところです」

遠鉄西鹿島線高架工事が進む上島駅
遠鉄西鹿島線高架工事が進む上島駅
高架化によって東西の交通アクセスが向上する上島地区
高架化によって東西の交通アクセスが向上する上島地区

2012年夏、一部区間が開通する新東名高速道路(第二東名)浜北インターチェンジ周辺 浜北IC(中瀬南部地区)へのアクセス道路である国道152号・天竜浜松線(都市計画道路)沿線の2011年12月10日現在の様子

編集協力 静岡情報通信

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