2012年春 不動産売買市場動向を探る!
これから買うなら
不動産は唯一無二のもの。いち早くスタートラインへ。
車や家電など物品を購入するのと同じ感覚で不動産を検討すると失敗につながりやすい。なぜなら、土地や建物といった不動産は量産可能な工業製品ではなく、唯一無二のものだからだ。”最新モデル”の登場を待ったり、要望と照合したりしているうちに、よいものはどんどん売れ、チャンスを逃すことになりかねない。
これから土地や中古住宅、中古分譲マンションを購入しようと考えている人に向けて、各社の担当者にアドバイスしてもらった。
「最近、感じるのは、購入を検討されているお客様のご要望がどんどん細かくなっていること。予算の底上げが見込めない時代ですから慎重になるのはわかりますが、すべてに合致するものは存在しません。売却物件にはタイミングと数の限界があることを肝に銘じ、妥協点を見出してほしいですね。価格的にはだいぶこなれてきましたから買いやすい状況であることは間違いありません。今市場に出ている物件を見直し、金額を調整することで不動産市場は動くのではないでしょうか」(スカイポート・大村さん)
「インターネットから入るお客様が増え、実際の物件に近付くまでに時間がかかるようになりました。買ってもいいかなという曖昧な気持ちでは物件探しにも熱が入りません。みんなが50坪の土地を欲しがるから、うちも50坪欲しいとか、南面道路でないとダメとか、根拠のない常識を捨てて、自分の価値観で探しましょう。できるだけ多くの物件を目の当たりにして相場観を養うとともに、イメージと現実のギャップを埋めていくこと。そして、信頼できる不動産業者と手を携えて一緒に探すことが成功の秘訣だと思います」(マストレ・小林さん)
「消費税増税が現実味を帯び、2014年4月に8%、2015年10月には15%にアップする議論が進んでいます。土地や中古住宅には消費税がかかりませんが、土地を購入して建物を建てるとなると負担が一気に増します。登録免許税や不動産取得税の軽減措置も段階的に引き上げられるので、買うならできるだけ早い方がいい。中古物件の値ごろ感がある今がチャンスです」(しずなび株式会社・今井さん)
住宅ローンの返済も早くスタートすれば、年齢を重ねる前に完済できる。将来の不安を払拭して、新生活への一歩を踏み出そう。
多様化する住宅ニーズ。価値観の再認識から。
「浜北エリアはおもしろくなる要素を秘めています。大規模既存集落では売りたいという人が後を絶たず、坪5万円~10万円で取引されていて、縁辺集落の相場は15万円~20万円程度。また、南から北へ拠点を移す企業もあり、今、市内でもっとも期待が持てるエリアだと見ています。居住人口が増えれば街に活気が生まれ、より一層、求心力が高まるはず。これから購入を考えている方には情報を十分に収集すること、そして周辺物件と比較検討して正確な判断を下すことをおすすめします。特に小さなお子さんを持つ若いご家族には、納得して買い物をしていただき、この街に根差して元気よく成長してほしいですね」(西遠土地建物センター・木俣さん)
「これから行動を起こして、入居するまでにどれだけ時間がかかるかを逆算してみることが大切です。大規模既存集落農地の場合、申請に手間取り、思った以上にゴールは遠かったというケースも珍しくありません。供給はあっても許可が下りない場合を想定し、広い視野と計画性を持って、わが家を実現していただければと思います」(ランドリンク・前川さん)
「ニーズの多様化に伴い、これからの住宅探しはますます個別化、多様化するでしょう。首都圏では東日本大震災の後、”所有から賃貸へ”という考え方が広がっています。首都圏に比べると静岡県西部は土地単価が安いので、賃貸と購入では総支払額が変わらず、購入すれば土地や建物が資産として残るメリットがあります。ただ、価値観やライフスタイルは人それぞれ。さまざまに工夫しながら能動的に生活できる人は賃貸向きだし、安定と安心を優先するなら購入した方がいい。自分たちはどんな価値観で、どんな暮らしをしたいのか、将来設計も含めて考えてみることから始めてはいかがでしょうか」(遠州鉄道・小笠原さん)
2012年春の不動産売買市場は動き始めたばかり。
情勢に乗り遅れることなく、絶好のタイミングと納得の価格で満足のわが家を実現してほしい。
編集協力 静岡情報通信