消費増税前のマイホーム購入成功術!
2012年8月10日、いわゆる消費税増税法案が参院で可決、成立した。ところが増税の時期が流動的なためか、現在は報道も沈静化しているように見える。しかし、近い将来消費税が増税されることは決定したわけで、マイホーム計画に対する影響が大きいことは間違いない。では、どう対処すればいいのか。地元で不動産市場に詳しいしずなび株式会社(旧:静岡セキスイハイム不動産)の今井弘明さんと、資金需要に詳しい浜松信用金庫の日置 覚さんに話をうかがった。
8月頃から問合せ等が激増!! すでに市場は動いている!
「今年8月頃から、お問い合せやご成約が、それまでを大幅に超える勢いで増え続けています」
開口一番、直近の情勢変化を語ってくれたのは、しずなび株式会社 浜松営業所の今井弘明所長。法案が成立して一週間しないうちにレスポンスが出始めたという。
「でも、お客様の反応を見ていると、駆け込み需要というイメージではないんですよ。かなり落ち着いて決断をされているんですね」
消費税増税法案が成立して以降、マスコミにも関連した話題が出ていない。駆け込みというような煽られ方で、行動している方はいないという。
「今決断されている方は、以前から検討を続けてこられている方ばかりですね。そういう方は、ここ数年のデフレ基調の中で冷静に情勢を見て、物件もじっくり見て回って、下落傾向にあった不動産価格をずっと注視されていました。そういう方々にとっては、今回の消費税増税は決断のきっかけだったんです。時期はまだ決定していませんが、近い将来上がることだけは決定したわけですから。景気対策も実施される方向ですから、今こそ決断の時期というわけです」と今井さん。
2014年4月に増税しない? それでも動く理由とは
「2014年4月に消費税は上がる」。そう思っている方も多いだろう。だが、それは間違いだ。成立した消費税法案には、「消費税率の引上げに当たっての措置」という条項が記されている。よく言う「付帯条項18条」だ。その内容を、法案から抜き出したものをコラムで紹介しよう。ぜひ、一度読んでみてほしい。
簡単に言うと、今回の消費税増税は経済状況を好転させることを前提条件としている。だから平成23年度から32年度までの平均で名目で3%、実質で2%の経済成長を実現するための経済政策を実施することが決まっているのだ。さらに、消費税の引き上げは、その時点の経済状況を踏まえて、その時の政府が「施行の停止を含めて」検討することになっている。つまり、経済状況が悪かったら増税時期が先送りになることも考えられる。
しかし、不動産市場はすでに動いている。それは一体なぜだろう。今井さんは 「今、動き始めていらっしゃる方は、かなり戦略的です。マイホームのイメージをしっかりと持っています。例えば、エリアを絞られて積極的に物件を調べていらっしゃいます。実際、デフレが長く続いていることで、良い条件を備えた物件が揃っている。しかも、お得な価格帯で購入できる可能性はかなり高くなっています。言ってみれば、条件が良い物件から、どんどん売れていく状況になりつつある…といえるのかも知れません」という。
消費税増税の前提条件「付帯条項18条」とは?
消費税率の引上げに当たっての措置
【第18条】消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。
さらに、成立した修正案では、以下の条項が加えられている。
税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。● 出典 : 衆議院 第180国会 議案一覧 / 閣法 72 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案
編集協力 静岡情報通信