空き家の放置リスクと処分する方法を解説
目次
親から相続した家が空き家になっていたり、購入した別荘が空き家になっていたりして、空き家をどう利用したらいいのか悩んでいる人もいるでしょう。しずなび株式会社(旧:静岡セキスイハイム不動産)でも、近年空き家についてのご相談を多くいただいております。このような悩みを抱えているなら、早めの処分をおすすめします。使わない空き家を放置しておくと物件の価格が下がるだけではなく、さまざまなリスクを抱えることになるため、注意が必要です。
そこで今回は、静岡の不動産売買の専門家としてお客様からご質問いただくことの多い空き家を放置するリスクや売却方法、処分方法などについて詳しく解説していきます。
空き家の現状について
まずは、静岡県全体と浜松市、それぞれの空き家の現状について確認していきましょう。
静岡県の空き家の現状
平成30年の静岡県内の総住宅数は1,714,700戸で、そのうち普段から人が住んでいる住宅は1,425,100戸でした。 これは、総住宅数の83.1%であり、居住世帯がない住宅(空き家もしくは一時的に住んでいる住宅)は、総住宅数の16.9%(289,600戸)となっています。
居住世帯のない住宅のなかで、「空き家」の数は281,600戸であるため、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は16.4%です。
静岡県の空き家の数と空き家率の推移は下表のとおりです。
昭和63年 | 平成5年 | 平成10年 | 平成15年 | 平成20年 | 平成25年 | 平成30年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
空き家の数 | 108,900戸 | 121,200戸 | 165,700戸 | 201,000戸 | 226,800戸 | 270,900戸 | 281,600戸 |
空き家率 | 9.5% | 9.7% | 11.9% | 13.5% | 14.2% | 16.3% | 16.4% |
平成25年と平成30年を比べると、空き家の数は 10,700 戸の増加、空き家率は 0.1 ポイントの上昇であり、いずれも過去最高となっています。
【参考】平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 静岡県の結果の概要 | ふじのくに 静岡県公式ホームページ
浜松市の空き家の現状
平成30年の住宅・土地統計調査によると、浜松市内の空き家数は約47,000 戸、空き家率は13.0%で、
空き家率に関しては全国および静岡県全体と比較すると、わずかに低くなっています。
5年前の空き家率と比較してもやや減少していますが、危険な空き家となりやすい「居住世帯のない一戸建」は300戸も増加していることが現状です。
浜松市を含め、静岡県全域でも今後も空き家が増加していくと考えられ、空き家を相続する方も今より増えていくと考えられます。 では実際に空き家を相続した際、どうすればいいのでしょうか。まずは空き家を放置するリスクからご説明します。
空き家を放置するとどうなる?
空き家を放置すると、主に次のような問題が発生します。
- 維持費や税金がかかり続ける
- 建物の傷みが進行する
- 近隣住民に迷惑をかける可能性がある
- 被災リスクを抱えることになる
- 空き巣や放火犯に狙われやすい
- 自治体から指導・勧告を受ける可能性がある
それぞれの問題について、詳しく解説していきます。
維持費や税金がかかり続ける
不動産を所有した場合には、固定資産税と都市計画税を支払う義務が生じます。これは、空き家に限らず不動産を所有している限り発生する税金であるため、維持費と考えてもいいでしょう。
納める金額は不動産の価値などによって変わりますが、場合によっては年間に納めなければならない金額の合計が100万円を超えることもあります。
空き家のために税金を払い続けることは無駄です。空き家を放置すると『特定空き家』と認定されてしまい、減免されなくなる可能性があるため注意しましょう。
建物の傷みが進行する
建物は、人の出入りで空気が入れ替わることによって湿気が排出され、キレイな状態を保てます。
しかし、人の出入りがなくなると湿気がこもり、腐食やカビ、錆びなどが急速に進行します。建物の劣化が進むと、売却をしようと思っても価格が付かず、空き家を手放せなくなるという悪循環に陥る恐れもあります。
将来的に空き家を活用する予定があるなら、管理代行サービスを利用することも方法の一つですが、利用する予定がない場合は早めに処分してしまう方が得策です。
近隣住民に迷惑をかける可能性がある
空き家には人が近づかないため、不法投棄された場所となり、近隣住民に迷惑がかかる可能性があります。問題になるのはゴミだけではありません。
たとえば、ススメバチやムカデといった害虫が住み着いてしまった場合には、害虫の被害が近隣にも及ぶでしょう。
「誰も住んでいないのだから、特に問題はないだろう」という安易な考えが、多くの被害を引き起こす原因となります。近隣住民のことを考えるなら、空き家を適切に管理したり、取り壊して更地にしたりするなどして、放置しないようにしましょう。
被災リスクを抱えることになる
空き家も建物であることに変わりはないため、地震や台風などの自然災害に見舞われるリスクがあります。 空き家が被災した場合、改修や取り壊しに余計な費用がかかります。被災によって空き家が崩壊すれば、近隣に思わぬ被害が拡大することもあるでしょう。 早めに取り壊しておけば、これらの被害を避けることができます。被災のリスクは空き家を放置することによる大きなリスクの一つとして、考えておきましょう。
空き巣や放火犯に狙われやすい
空き家が目の届かないような遠方にある場合は、誰かが忍び込んだとしても気づくことができません。 過去には逃亡中の受刑者が空き家に住みつくという事件も発生しました。空き家が犯罪の拠点として活用されることもあるため、注意が必要です。 また、空き家に人がいないということが分かると、放火犯に狙われる可能性もあります。 どちらにしても、空き家は犯罪者に狙われやすくなることは覚えておいた方がいいでしょう。
自治体から指導・勧告を受ける可能性がある
空き家を放置しておくと、自治体から指導・勧告を受ける可能性もあります。
適切な管理を行うように勧告をされるだけならまだ良いですが、地域にとって不健全な要素と自治体に判断された場合は、行政代執行によって建物が強制的に取り壊されます。
自治体は基本的に助言や勧告などの行政指導から始めるため、いきなり行政代執行になることはありません。しかし、助言や勧告によって改善されなかった場合には取り壊し命令を出されます。
なお、行政代執行により取り壊した場合でも、費用は所有者に請求されます。
取り壊したくない空き家を強制的に取り壊されたうえに、高額な費用まで請求されるという最悪な事態を防ぐためにも、早めに適切な対応をとるようにしましょう。
空き家を処分する方法と選択肢
空き家を処分した方がいいと先述しましたが、実際に処分するにはどのような方法があるのでしょうか。主な方法と選択肢を4つご紹介します。
- 売却する
- 第三者に無料で譲渡する
- 有効活用する
- 空き家管理サービスを活用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
売却する
売却は、空き家を処分する際にもっとも一般的な方法です。売買が成立すれば、対価を得ることができるので、メリットが大きい方法です。 空き家を売却する方法には、主に次の3つがあります。
- 更地にして土地だけを売却する
- 家を残したまま売却する
- 不動産会社に買い取ってもらう
それぞれの方法を詳しく解説していきます。
家を残したまま売却する
空き家を売却する方法のひとつ目は、家を残したままの状態で売却する方法です。この売却方法のことを『中古戸建』や『古家付土地』での売却と呼びます。
家を取り壊す手間がないため、時間や費用がかからないことが大きなメリットです。
時間や手間をかけず、少しでも早く空き家を売却したい場合に、この方法で処分するといいでしょう。
更地にして土地だけを売却する
二つ目は、空き家を取り壊して更地にしたうえで、土地だけを売却する方法です。建物を解体する費用やリスクは負いますが、老朽化が進行した家を売却するよりも高く売却できる可能性があります。
家の解体工事を依頼する場合には、解体費用の見積りに庭木や庭石といった住宅自体でない部分が含まれているかどうかを確認することが重要です。
「あとから予想外の費用を請求された」ということが無いように、見積もりの内容をしっかりと確認しておきましょう。
不動産会社に買い取ってもらう
三つ目の方法は、不動産会社に空き家を買い取ってもらうことです。この方法を『空き家買取』と呼びます。
一般的な仲介売却よりも買い手を探す時間がかからないため、迅速に空き家を売却したい人に適した方法です。老朽化が進んだ建物や、古い物件でも売れやすいというメリットがあります。
時間や手間がかからず、売却できる可能性も高い空き家買取ですが、売却金額が相場の5~8割程度に下がるというデメリットもあります。このデメリットを知らずに空き家買取を選択してしまうと、大きな損をしてしまうこともあるため、注意が必要です。
第三者に無料で譲渡する
売却を試みても買い手が見つからない場合は、第三者に無料譲渡することを考えてもいいでしょう。空き家を無料で譲渡するには主に3つの方法が考えられます
- 周辺地権者や知人に譲る
- 不動産会社に譲る
- 空き家バンクを利用する
無料で譲渡するため得られる代金はゼロですが、空き家の管理から解放され維持費や固定資産税を払わなくて済むので、無料譲渡の選択肢を考えてみるのも良いでしょう。
「空き家差し上げます」で起こるトラブル
ここで空き家を無料で譲渡する際に起こる、注意すべきトラブルについてご紹介します。
トラブル1:税金が発生する
個人が法人に無償譲渡すると『みなし譲渡』として所得税が課せられるので注意が必要です。ただし、公益法人などに無償譲渡する場合は、所定の手続きを行うと税金は発生しません。
トラブル2:建物の欠損は必ず相手に伝える
空き家を無償譲渡する場合、原則として贈与者は瑕疵担保責任を負いません。ただし、事前に建物の欠損を知っていて伝えなかった場合は責任が生じるため注意しましょう。
また、不動産を取引するときの手続きは厳粛なので、素人だけで進めるのは難しいものです。そこで司法書士や仲介業者に依頼して、書類作成や登記代行を依頼するのが一般的です。その際、手続き依頼料や手数料がかかってきますので注意が必要です。
有効活用する
空き家が有効活用できるのであれば、利益も得られる可能性もあります。ここでは、改めて有効活用する方法を確認しておきましょう。
- 第三者に貸し出す
居住用として第三者に貸す方法です。
- 建て替えて貸す
空き家を建て替えて賃貸物件などとして貸す方法です。
- 更地として使う
空き家を取り壊したあとで、駐車場や事業用の土地として貸す方法です。
経営ノウハウが必要となる一面もありますが、上手くすれば不動産を売却せず、家賃収入などの新たな収入源を確保することができます。
空き家管理サービスを活用する
空き家の管理が大変な方や、遠方に住んでいて管理することが難しい方、とりあえず相続したがこれからどうするか決めていない方は、空き家管理サービスを利用するのも良いでしょう。
費用はかかってしまいますが、空き家を管理する手間を省くことができ、専門的な視点から見た物件管理を受けられることがメリットです。
しずなび株式会社では、定期的な巡回で、建物の劣化や景観悪化などのトラブルを未然に防ぎ、不動産の資産価値を維持管理する空き家管理サービスを行っております。静岡県で空き家の管理にお悩みの方は、選択肢の一つとして検討してみてください。
不動産会社に査定を依頼して、空き家を賢く処分しよう
今までご紹介したように空き家を処分する方法にはさまざまな選択肢がありますが、基本は「そのまま売却」する方法からスタートするのがおすすめです。
「更地にして売却」「買取してもらう」という選択肢は、そのまま売却では買い手が見つからない場合に、次の選択肢として考えるとよいでしょう。
空き家をお持ちの方はまずは一度、不動産会社に査定を依頼してみましょう。空き家を放置しておくと短期間でも老朽化が進み、価値が下がってしまいます。
少しでも高く売りたいなら、早めの査定依頼がおすすめです。
まとめ
空き家を放置することはリスクがともなうため、早めに対処することが大切です。お持ちの不動産がこれからどうするか決まっていない方は、ご自身での管理や空き家管理サービスを利用して、きちんと管理し不動産の資産価値を維持管理しましょう。
静岡県で不動産の売却や買取をご検討されている方は、しずなび株式会社まで、ぜひお気軽にお問い合せください。浜松市をはじめ、そのほかの地域の不動産売却にも対応しております。