2014年度 税制改正要望に見る住宅税制の行方

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2014年度の税制改正要望が出揃い、住宅関連では、期限切れを迎える優遇税制の延長のほかに、「都市再興に向けた都市機能の整備のための特例措置」や「老朽化マンションの建替え等の促進」、「中古住宅流通・リフォーム市場の活性化」などで新たな減税特例措置などの創設を求めている。

個人住民税

延長 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の特例措置の延長・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    個人が居住用財産の譲渡損失の金額を有する場合に、買換資産に係る住宅借入金を有する等の一定の要件の下で、その譲渡損失の発生した年の翌年以後の3年内の各年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上、その譲渡損失に相当する金額を控除する。

  • 特例措置の内容 本特例の適用期限(2013年12月31日)の2年間延長

延長 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長・・・国土交通省・環境省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    個人が、所有期間が10年を超える居住用財産(居住期間10年以上であるものに限る)を譲渡し、譲渡年の前年および譲渡年に自己居住用財産を取得した場合における譲渡所得の課税について、譲渡資産の譲渡による収入金額が 買換資産の取得価額以下である場合は、譲渡資産の譲渡がなかったものとし、買換資産の取得価額を超える場合は、譲渡資産のうちその超える金額に相当するものについて譲渡があったものとして、長期譲渡所得の課税の特例を適用する。

  • 特例措置の内容 本特例の適用期限(2013年12月31日)の2年間延長

延長 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の特例措置の延長・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    個人が、所有期間が5年を超える居住用財産を譲渡した場合において譲渡損失が発生したときは、一定の要件の下で、当該譲渡資産に係る住宅ローン残高から譲渡価額を控除した額を限度として、その年の他の所得との損益通算及び翌年以後3年以内の各年分の総所得金額等からの繰越控除を認める。

  • 特例措置の内容 本特例の適用期限(2013年12月31日)の2年間延長

不動産取得税

延長 高規格堤防整備事業に伴い取得する建替家屋に係る特例措置の延長・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    高規格堤防整備事業の実施により家屋の移転を余儀なくされた者に対して、収用等の場合に認められている税制上の特例措置に準じた特例措置を講じる。

  • 特例措置の内容

    高規格堤防の整備に係る事業の用に供するため使用された土地の上に建築されていた家屋について移転補償金を受けた者が、高規格堤防特別区域の公示日から2年以内に当該土地に従前の家屋に代わる家屋を取得した場合の、建替家屋に係る不動産取得税の課税標準から従前家屋の価格を控除する措置の適用期限(2014年3月31日)を2年延長する。

延長 宅地建物取引業者等が取得する新築住宅の取得日に係る特例措置及び一定の住宅用地に係る税額の減額措置の期間要件を緩和する特例措置の延長・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    (1)ディベロッパー等に対する新築住宅のみなし取得時期の特例措置(6月→1年)

    (2)住宅用土地に対する不動産取得税の軽減措置を受ける場合の土地の取得から新築までの期間要件に係る特例措置(2年→3年。ただし、100戸以上の共同住宅等で、土地を取得した日から共同住宅等が新築されるまでの期間が3年を超えると見込まれることについてやむを得ない事情があると都道府県知事が認める場合は4年。)

  • 特例措置の内容 上記の特例の適用期限(2014年3月31日)の2年間延長する。

新設 買取再販において住宅性能の一定の向上が図られた中古住宅を販売する際の非課税措置の創設・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    中古住宅のうち、事業者が買取り、住宅性能の一定の向上を図るための改修工事を行った後、再販売するもの。

  • 特例措置の内容 住宅購入者に課される不動産取得税を非課税とする。

新設 老朽化マンションの建替え等(認定建替事業・認定建物敷地売却事業)の権利変換等により施行者が取得する不動産に係る非課税措置の創設・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    マンションの建替えの円滑化等に関する法律において新たに創設する、老朽化マンションの建替え等(認定建替事業・認定建物敷地売却事業)に係る不動産の権利取得のうち、以下のもの。

    (1)認定建替事業の施行者又は認定建物敷地売却事業の施行者による、転出者からの区分所有権及び敷地利用権の取得

    (2)認定建替事業における権利変換による施行者の権利取得、認定建物敷地売却事業における権利消滅による施行者の権利取得

    (3)認定建物敷地売却事業における建物の明渡し完了後の(施工者からの)参加組合員(買受者)の権利取得

  • 特例措置の内容 上記の権利取得に係る不動産取得税を非課税とする。

個人住民税・不動産取得税

拡充 中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合における、各種特例措置の適用要件の合理化・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    【個人住民税】
    住宅ローン減税制度の最大控除額まで所得税額が控除されない者について、所得税から控除しきれない額を、個人住民税から控除する。また、個人が所有期間が10年を超える居住用財産(居住期間10年以上であるものに限る)を譲渡し、譲渡年の前年及び譲渡年に自己居住用財産を取得した場合における譲渡所得の課税について、譲渡資産の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額以下である場合は、譲渡資産の譲渡がなかったものとし、買換資産の取得価額を超える場合は、譲渡資産のうちその超える金額に相当するものについて譲渡があったものとして、長期譲渡所得の課税の特例を適用する。

    【不動産取得税】
    一戸につき、住宅が新築された当時において施行されていた地方税法第73条の14第1項の規定により控除するものとされていた額を価格から控除する。

  • 特例措置の内容

    耐震基準に適合しない中古住宅を取得し、入居前に耐震基準に適合するための改修を実施する場合において、売主からの情報提供を受けた上で、耐震基準への適合が確実であることにつき国土交通大臣による認定を受けた場合、耐震基準に適合した中古住宅を取得した際と同様に、上記の特例措置の適用を認める。

固定資産税

延長 新築住宅に係る特例措置の延長・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    一定の要件を満たす新築住宅に対して課する固定資産税を3年間(中高層耐火建築物である住宅は5年間)2分の1に減額する。

  • 特例措置の内容

    本特例の適用期限(2014年3月31日)を2年間延長する。

不動産取得税・固定資産税

延長 認定長期優良住宅に係る特例措置の延長・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    耐久性、耐震性、維持保全容易性及び可変性等を備え、適切な維持保全が確保される認定長期優良住宅について特例措置を講じることにより、質の高い住宅の供給及び住宅の長寿命化を促進する。

  • 特例措置の内容

    【不動産取得税】
    新築住宅:課税標準から 1,300万円控除(一般住宅の特例1,200万円控除)

    【固定資産税】
    中高層耐火建築物以外の建築物:新築から 1〜5年目1/2減額
    中高層耐火建築物:新築から 1〜7年目1/2減額

固定資産税・法人住民税・事業税

新設 既存建築物の改修投資促進のための特例措置の創設・・・国土交通省・内閣府・環境省

  1. (1)耐震改修促進のための税制措置
    改正耐震改修促進法に基づき、耐震診断が義務付けられている病院、店舗、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物や避難路沿道の建築物等を対象に、耐震改修を促進するための特例措置を講じる。

  2. (2)省エネ改修促進のための税制措置
    省エネ法に基づき、増改築時にエネルギーの効率的利用のための措置の届出が義務付けられている床面積 2,000以上のオフィスビル等の建築物を対象に、省エネ改修を促進するための特例措置を講じる。

  3. (3)バリアフリー改修促進のための税制措置
    バリフリー法に基づき、増改築時に高齢者、障害者等が円滑に利用できるための基準に適合することが義務付けられている床面積 2,000以上の建築物(不特定多数の者が利用する病院、店舗等や主に高齢者、障害者等が利用する老人ホーム等)を対象に、バリアフリー改修を促進するための特例措置を講じる。

個人住民税・法人住民税

新設 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の延長・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)
    新たな法制度に基づき誘導地区施設(仮称)の整備事業を行う事業者に対して土地等を譲渡した場合について、下記の措置を創設する。
  • 特例措置の内容
    (1)事業のために土地等を譲渡し、特別の事情により地区外に転出する場合
  • 個人住民税の軽減税率(居住用財産)6,000万円以下4% 6,000万円超5%
    (2)事業のために長期保有(所有期間5年間超)の土地等を譲渡する場合
  • 個人住民税の軽減税率 2,000万円以下4% 2,000万円超5%
    法人税 5%重課の適用除外(法人住民税 連動)

延長 土地等の譲渡益に対する追加課税制度(重課)の課税停止措置の延長・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    【個人住民税】
    棚卸資産である土地等又は雑所得の基因となる土地等を譲渡した場合において、所有期間5年以下の土地等の譲渡による事業所得又は雑所得については、他の所得と分離して、追加課税として特別税率(個人住民税2/100等)が課される。

    【法人住民税】(法人税と連動)
    法人の土地譲渡益に対して、通常の法人税のほか、追加課税として特別税率(長期所有(5年超)5/100、短期所有(5年以下)10/100)が課される。

  • 特例措置の内容

    上記の税率に係る課税停止措置(2013年12月31日まで)を5年間延長する。

延長 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の軽減措置の延長・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    【個人住民税】
    優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得のうち 2,000万円以下の部分について、個人住民税の税率を軽減(本則5%、特例4%)する。

    【法人住民税】(法人税と連動)
    優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の法人の土地譲渡益に対して、通常の法人税のほか追加課税される特別税率の適用を除外する。
    上記の課税の軽減措置の適用期限(2013年12月31日まで)を5年延長する。

  • 特例措置の内容

    上記の課税の軽減措置の適用期限(2013年12月31日まで)を5年延長する。

法人住民税・事業税

新設 老朽化マンションの建替え等(認定建替事業・認定建物敷地売却事業)の施行者である組合の事業施行に係る特例措置の創設・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    老朽化マンションの建替え等(認定建替事業・認定建物敷地売却事業)の施行者である認定建替組合及び建物敷地売却組合に係る非収益事業所得への課税及び消費税

  • 特例措置の内容

    (1)非収益事業所得に係る法人住民税・事業税・事業所税を非課税とする。

    (2)消費税について以下の特例措置を講ずる。
    一 資産の譲渡等の時期の特例
    二 仕入れ税額控除の特例
    三 申告期限の特例

個人住民税・法人住民税・事業税

新設 空きビルのテナント入替え等を行う場合の地権者の所得に対する課税の特例の創設・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    既存のビルにおいて都市機能を導入しようとする際、必要な限度において、ビル内で移転を行わせる制度(希望により転出)を創設し、移転補償金について税制上の措置を講じる。

  • 特例措置の内容

    上記の制度を活用する際の移転・退出する借家人の移転補償金について、譲渡所得とみなし、1,500万円特別控除の措置を創設する。(個人住民税、法人住民税及び事業税に連動)。

新設 老朽化マンションの建替え等(認定建替事業・認定建物敷地売却事業)の転出者等の譲渡所得に係る特例措置の創設・・・国土交通省

  • 特例措置の対象(支援措置を必要とする制度の概要)

    1. マンションの建替えの円滑化等に関する法律において新たに創設する、老朽化マンションの建替え等(認定建替事業・認定建物敷地売却事業)の転出者(認定建替事業においては隣接施行敷地権利者である者も含む)が、認定建替事業又は認定建物敷地売却事業の施行者に権利を買い取られる場合に生じる長期譲渡所

    2. 認定建替事業において、権利変換により再建建物に係る権利を取得したときに生じる譲渡所得。

  • 特例措置の内容

    1.(1)1,500万円特別控除を適用する。【個人住民税・法人住民税・事業税】
    (2)長期譲渡所得について軽減税率を適用する。【個人住民税】

    2. 当該権利変換により譲渡した資産の譲渡がなかったものとみなす。【個人住民税・法人住民税・事業税】

編集協力 静岡情報通信

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