2014年度 税制改正大綱 決まる!
目次
2014年度の住宅税制改正のポイント
2014年度の税制改正大綱が決まった。住宅関係では新たに以下が改正されます。
- (1) 都市再興に向けた都市機能の整備のための特例措置の創設
- (2) 老朽化マンションの建替えに係る特例措置の創設・延長
- (3) 中古住宅流通・リフォーム市場の活性化のための特例措置の創設・拡充などが盛り込まれた。このほかでは期限切れを迎える優遇税制の延長が中心で目新しさに欠ける内容となった。2014年4月からの消費税増税を見込んだ住宅ローン減税はすでに今年度の税制改正大綱に盛り込まれており、来年4月からは最大40万円(10年間で最大400万円)に引き上げられることが決まっている。また減税の恩恵を十分に受けにくい中低所得層には最大30万円の現金を給付する制度も14年4月から始まる予定だ。
中古住宅流通・リフォーム市場の活性化、老朽化マンションの建替えに特例措置を創設!
老朽化マンションの建替えで譲渡所得を軽減
今回の税制改正で、特に目を引くものとしては老朽マンションの売却と解体をしやすくする税の優遇措置が盛り込まれた点だろう。
この背景には、全国にあるマンション約590万戸のうち旧耐震基準で建設されたものが約106万戸、建替えは2013年4月時点で183件、約1万4,000戸にとどまっている。このことから、構造耐力が不足している老朽化マンションの建替えは喫緊の課題とされ、2014年度から税制上の支援措置を施すとしている。特に対策が必要な老朽マンションについては新たな権利調整ルール「認定建物敷地売却(新制度)」を設け、建替えなどの促進を図る。
具体的には、旧耐震基準で建設されたマンションを売却する場合、所有者が売却で得る譲渡所得は税率を低くしたり、建て替えやオフィスビルヘの転用を促す。
マンションの区分所有者の長期譲渡所得にかかる税率は現在、所得税が15%、住民税が5%だが、2,000万円以下の部分について、所得税を10%、個人住民税を4%にそれぞれ軽減する。また区分所有者が組合に区分所有権を売り渡す場合の長期譲渡所得に1,500万円の特別控除を設けるとしている。
質の高い中古住宅の購入では登録免許税を軽減!
不動産業者などの買取再販事業者から、一定の質の向上が図られた中古住宅を購入する場合は、登録免許税の税率を一般住宅特例より引き下げる措置がとられる。
現行制度下では所有権の移転登記は一般住宅特例で課税標準額の0.3%だがこれを0.1%に軽減する。適用期間は2014年4月1日から2016年3月31日まで。(図表参照)。
中古住宅購入後に耐震改修工事を行なった場合の特例措置
現行制度下では、耐震基準に適合しない中古住宅を購入したとき、購入後に耐震改修工事を行って入居しても、税制上の各種特例措置を受けられない。今回の改正では中古住宅購入後に耐震改修工事を行い入居する場合には、売主からの情報提供を受けた上で、耐震基準への適合が確実である場合には、耐震基準に適合した中古住宅を取得した際と同様に、「住宅ローン減税」をはじめ、「住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置」、「既存住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置」などの適用を可能とする。(図表参照)。
既存建築物の改修投資促進のための特例措置を創設
既存建築物(非住宅)の改修投資促進のための特例措置も創設した。
これは耐震、省エネ、バリアフリー化による改修投資を促進し、性能の抜本的な向上と消費税引上げに伴う大幅な住宅着工戸数の落ち込みによる経済への悪影響を緩和するためのもの。主に病院、店舗、旅館やオフィスビル、老人ホーム等を対象にしたものだ。
具体的な施策では、(1) 耐震診断が義務付けられている病院、店舗、旅館等について2015年3月31日までに耐震診断結果の報告を行い、2014年4月1日からその報告を行った日以後5年以内に耐震改修により取得する建築物について、取得価額の25%の特別償却を認める。また2014年4月1日から2017年3月31日までの間に政府の補助を受けて改修工事を行った場合、工事完了年の翌年度分から2年間、固定資産税の税額を2分の1に減額するとしている。
これらは1月の通常国会に税制改正法案として提出される。
編集協力 静岡情報通信