住宅ローン控除は中古住宅でも適用される?上限金額や適用7条件について解説
中古住宅の購入も住宅ローン控除の適用対象です。ただし、すべての中古住宅に適用されるわけではありません。適用されるためにはいくつかの条件があるので、対象となるかどうかを事前にしっかりと確認しておきましょう。
所得税だけでなく住民税から控除されるのかどうかも確認しておくと、還ってくる税金が多くなることもあります。
今回は、住宅ローン控除の適用条件や控除を受けるための方法、利用する際の注意点などについて詳しく解説していきます。これから中古住宅の購入を検討しているという方も、ぜひ参考にしてください。
また後半では静岡県内における住宅ローン利子補助制度や住宅建設資金利子補助制度などについてもご紹介しております。併せて参考にしてください。
住宅ローン控除とは
「住宅ローン控除」とは、住宅ローンを使って家を購入したときに、年末時の住宅ローンの残高1%が控除される制度です。控除される期間は10年、または13年間で、所得税や住民税から控除されます。わかりやすく言うと、ローンの支払い分が住民税などから控除されるということです。
住宅ローンの支払いに他の税金の支払いが重なると、経済的に苦しくなります。しかし、この制度を利用すれば、税金の支払いが10年間控除されるため、経済的な負担を軽減できます。
税金が多く戻ってくることはありませんが、利用する方が得になるため、仕組みや対象となる条件を確認しておきましょう。
売り主の違いによるローン控除
居住年が2014年4月1日~2021年12月31日までで、売主の違いによるローン控除額などについては下記の通りです。
売主 | 個人 | 法人 |
---|---|---|
控除期間 | 10年間 | |
控除率 | 1% | |
対象ローン限度額 | 2,000万円 | 4,000万円 |
最高控除額 | 200万円 | 400万円 |
所得税が控除額に満たない場合、住民税も対象になる
所得税の額が住宅ローンの控除額よりも少ない場合は、全額を引けなくなります。
損をすることになるため。引ききれなかった金額を住民税から控除できます。
ただし、全額を住民税から控除できるわけではありません。
控除される条件は下記のように異なります。
この場合は、下記のどちらか少ない方が控除額です。
- 所得税から控除しきれなかった額
- 課税所得金額7%(上限13万6,500円)
この場合は、下記のどちらか少ない方が控除額です。
- 所得税から控除しきれなかった額
- 課税所得金額5%(上限9万7,500円)
中古住宅の住宅ローン控除の適用7条件
中古住宅に住宅ローン控除が適用されるためには、次の7つの条件があります。
- 自ら居住している
- 床面積が40㎡以上で床面積の1/2以上の部分を居住用としている
- ローンの返済期間が10年以上で
- 合計所得金額が3,000万円以下
- 特定の制度と併用していない
- 築年数
- 耐震性能
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
自ら居住すること
中古住宅で住宅ローン控除を適用するためには、住宅を購入してから6カ月以内に自らが入居している必要があります。ただし、単に6カ月以内に入居するだけでは対象となりません。家を購入してからの期間だけではなく、控除を受ける年の12月31日までは居住している必要もあります。
簡単に言うと、家を購入してから6カ月以内に入居し、さらに、家を購入した年の12月31日までは住んでいなければいけないということです。賃貸に出したり、短期間で転売したりすると控除対象とはならないので注意しましょう。
なお、本当に住んでいるかどうかは住民票で確認されます。
床面積が40㎡以上で床面積の1/2以上を居住用としていること
次の条件は住宅の床面積です。中古住宅で住宅ローン控除が適用されるためには、対象となる住宅の床面積が原則として50㎡以上となります。ただし、合計所得金額が1000万円以下の場合には、床面積が40㎡以上でも控除の対象です。
なお、ここでいう「床面積」は、不動産登記上の床面積のことを指します。
そのため、自分が購入した中古住宅の床面積が分からない場合は、登記簿に記載してある数字を確認しましょう。
ただし、住宅の一部を店舗や事務所などとして利用し、その部分を銘費として使っている場合には対象となる面積が異なります。住宅ローン控除を適用するためには、床面積の2分の1以上を自分の居住用として使用していなければいけません。
ローンの返済期間が10年以上であること
中古住宅で住宅ローン控除を適用するためには、ローンの返済期間は10年以上でなければなりません。そのため、中古住宅を購入して住宅ローン控除の適用を受けたいと考えている場合は、10年以上のローンを組んで購入するように計画を立てましょう。
合計所得金額が3,000万円以下であること
次は所得額に関する条件です。中古住宅で住宅ローン控除を適用するためには、合計所得金額が3,000万円以下でなければなりません。この条件は、住宅ローン減税を利用する年の合計所得金額です。なお、この場合の「合計所得金額」とは、給与のほかにも退職金や株式売買の利益、雑所得などすべてを含んだ金額のことを指します。
ただし、住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、年間所得金額が1000万円以下であれば、住宅ローン控除の適用条件です。いずれにしても、床面積によって適用条件が異なってくるため、登記簿などで事前に確認しておきましょう。
特定の制度と併用していないこと
特定の制度を利用していると、中古住宅の住宅ローン控除は適用されません。注意したいことは、下記の制度です。
- 3,000万円特別控除
- 居住用財産の買換え特例
これらの制度を居住した年の前後2年間、つまり、居住年を合わせると合計5年間に利用した場合は、住宅ローン控除は適用されなくなります。
控除の利用を検討している方は、他の制度とどちらを使った方がいいのかも含めて、総合的に判断しましょう。
築年数の条件を満たしていること
中古住宅で住宅ローン控除が適用されるためには、築年数にも条件があります。
具体的な条件は、下記の通りです。
- 木造住宅:築年数20年以内
- 耐火住宅:築年数が25年以内
どちらかの条件を満たしたうえに、親族などから購入した住宅ではない必要があります。
なお、控除が適用される築年数を超えているにも関わらず住宅ローン控除を利用したい場合は、耐震基準適合証明書などの取得が必要になるため、事前に確認しておきましょう。
耐震性能を有していること
最後の条件は耐震性能です。中古住宅の場合は、下記のいずれかの耐震性能を有している必要があります。
- 木造住宅は築20年以内
- 鉄筋コンクリート造は築25年以内
- 耐震基準適合証明書がある
- 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)である
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入している
これらのすべてを満たしている必要はありません。いずれかを満たしていれば、住宅ローン控除は適用されます。そのため、木造住宅で築20年以上の場合や、鉄筋コンクリート造りで築25年を超えていても、住宅ローン控除は適用されます。
中古住宅を購入する前に、このような条件に当てはまるかどうかをチェックしておけば、住宅ローン控除をスムーズに利用できるようになるでしょう。
住宅ローン控除を受けるにはどうしたらいい?
中古住宅を購入して住宅ローン控除を受けるためには、原則として確定申告が必要。
確定申告をする時期は、入居をした年の翌年2月16日~3月15日です。
会社員などの給与所得者である場合は年末調整で対応できるため、2年目以降の確定申告は不要になります。ただし、1年目は原則として確定申告が必要になるため、忘れないように注意してください。
なお、マイナンバーカードがあれば、1年目の確定申告は国税庁の「e-tax」から申請もできます。マイナンバーカードを持っていない場合には、管轄する税務署で確定申告しましょう。
マイナンバーカードがあれば、自宅からでもパソコンを使って簡単に確定申告をすることができるため、事前に作成しておくと便利です。
必要な書類は?
中古住宅を購入して住宅ローン控除を受けるために必要な書類をご紹介します。
・借入金銭高証明書通常は住宅ローンを借りた金融機関から、10~11月頃に送付されます。
ただし、ローンの初年度は翌年の1月に送られてくることもあります。
いずれにしても、住宅ローン控除を申請する際には、送られてきた残高証明書をなくさないように注意しましょう。なお、金融機関によっては発行申請が必要になるため、事前に問い合わせておくと安心です。
給与所得者は源泉徴収票が必要です。会社員であれば、年末調整後に勤務先から交付されます。年度中に転職したという場合は、現職だけではなく、前職の源泉徴収票も必要になるため、取り寄せておきましょう。
・登記事項証明書登記事項証明書は法務局で入手します。
地域を管轄する法務局に出向いて、発行してもらいましょう。
なお、法務局に出向いている時間がないという場合は、オンラインで発行申請することも可能です。オンラインで発行申請した場合は、登記事項証明書が郵送されます。
不動産会社と契約したときの契約書です。
・本人確認書類運転免許証やマイナンバーカードといった、本人を確認できる書類を用意します。
なお、木造で築20年以上、鉄筋コンクリート造りで築25年以上の場合は、耐震基準を満たしていることを証明するために、下記の書類も必要になります。
- 耐震基準適合証明書
- 既存住宅売買瑕疵保険証明書
リフォームの減税制度との併用に注意
中古住宅は、購入する際にリフォームが必要になるケースもあり、リフォームにかかった費用に対しても、所得税が減税される制度があります。
ただし、耐震工事を行うなどの理由でリフォームをするとき以外は、住宅ローン控除とリフォーム減税の併用は認められていません。
リフォーム減税を利用して購入する中古住宅のリフォームを検討している場合や、リフォームで減税された分も考慮して購入資金の計画を立てている場合には注意が必要です。
いずれにしても、併用はできないものと考えて、中古住宅の購入とリフォームを検討しましょう。
静岡県各エリアの住宅ローン利子補助制度
浜松市:住宅ローン利子補給制度
浜松市では、静岡県労働金庫から住宅建設資金等を借り入れた勤労者に対し、利子に対する補助を行われております。受付枠が満了になり次第終了となります。
利子補助率は年0.75%で、利子補助対象額が50万円以上300万円以内(10万円単位)、最長10年間の補助期間となります。
沼津市:沼津市勤労者住宅建設資金利子補給制度
沼津市内に自ら居住するための住宅を新築・増改築・購入する勤労者が、静岡県労働金庫から貸し付けを受ける住宅資金について、沼津市が利子の一部を補給する制度です。購入後、1年以内に住宅を建設する土地も対象となります。
利子補助率は年0.5%で、利子補助対象限度額が1000万円、最長10年間の補助期間となります。
袋井市:勤労者住宅建設資金利子補給制度
袋井市に自ら居住する住宅を新築、増改築または建売住宅・中古住宅・住宅用土地を購入される方で、勤労者の住宅建設等を促進するため、静岡県労働金庫から住宅建設資金を借り受けた勤労者に対し、利子補給金を交付する制度です。
利子補助率は年0.6%で、利子補助対象限度額が1件あたり500万円、利子補給期間は10年以内となります。
御前崎市:御前崎市勤労者住宅建設資金利子補給制度
御前崎市では、静岡県労働金庫から住宅建設資金等を借り入れた勤労者に対し、支払った利息のうち1.00パーセント(年利)を補助されます。年度受付枠がなくなり次第終了となります。
利子補助率は年1.00%で、利子補助対象限度額が500万円、最長10年間の補助期間となります。
菊川市:菊川市勤労者住宅建設資金貸付制度
菊川市に居住を希望する勤労者の皆様に、住宅の建設などに必要な資金を、静岡県労働金庫と提携して貸し付けする制度です。年度受付枠がなくなり次第終了となります。
利子補助率は年0.75〜0.80%で、利子補助対象限度額が500万円までとなります。
三島市:勤労者住宅建設資金利子補給制度
三島市に自ら居住する住宅を建築(購入を含む)、増改築、又は宅地を購入しようとする人で、勤労者の住宅建設等を促進するため、利子補給金を交付する制度です。
利子補助率は年0.5%で、利子補助対象限度額が1000万円、利子補給期間は10年以内となります。
富士市:勤労者住宅建設資金利子補給制度
静岡県労働金庫から住宅資金の貸付を受けた勤労者(事業主に雇用されている方)に、富士市が支払利子の一部を補給する制度です。
利子補助率は年0.3%で、利子補助対象限度額は融資を受けた額の内1,000万円以下の額に係る利子、利子補給期間は10年以内となります。
牧之原市:勤労者住宅資金利子補給制度
牧之原市では、牧之原市内に自己の居住する住宅を建築、購入等をする勤労者の住宅建設を促進するため、住宅資金の借入に対して利子補給金を交付します。
借入金1,000万円を限度として利子の1.00%以内を返済開始月から60ヶ月の補給となります。
まとめ
住宅ローン控除は、税金が多く戻ってくることはありませんが、利用する方が得になるため、中古住宅を購入される場合は仕組みや条件を確認して活用していきましょう。また静岡県内では浜松市をはじめ、各エリアで住宅ローン利子補助制度や勤労者住宅建設資金利子補給制度などの補助があります。住宅の購入をご検討される場合は対象エリアで補助があるか確認を行い、活用していきましょう。