不動産売却益を最大限に残したい!税金を安く抑える方法

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不動産売却時に受けられる税金の特例をご存じでしょうか?せっかく売却の利益が出たら できるだけ手元に残せるようにしたいものです。一方で譲渡損失があった場合も税金控除などの 特例が受けられる場合があります。事前に様々な特例について学んでおきましょう。

税引き後の額が変わる!不動産売却に掛かる税金の特例を知る

不動産の売主様が支払う譲渡所得税。 納税の義務を果たしながら余計な税金を支払わず、不動産の売却益をきちんと手元に残すために、譲渡所得税の様々な特例について知っておきましょう。

 

譲渡所得税とは

不動産を売却した際に必ず納めなければならない譲渡所得税。土地や建物の譲渡所得に対する所得税(国税)と住民税(地方税)を合わせて譲渡所得税と呼んでいます。 2037年までは東日本大震災の復興財源に充てられる復興特別所得税(国税)も含まれています。

土地や建物の譲渡所得に対する所得税(国税)と住民税(地方税)を一般に譲渡所得税と呼んでいます。2037年までは東日本大震災の復興財源に繰り入れる復興特別所得税(国税)も含まれます。

 

課税譲渡所得金額の計算方法

譲渡所得税の税額の基になる「課税譲渡所得金額」は次のように計算します。

  

収入金額

土地や建物などを売却した売主様が買主様から受け取る金銭の額です。金銭以外の物や権利で受け取った場合には、それらの時価が収入金額となります。

  

取得費

売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や仲介手数料などの合計額です。建物の場合、購入代金から減価償却費相当額を控除します。 なお、不動産の取得費がわからないときや、実際の取得費の金額が売った金額の5%に満たない場合は、売った金額の5%相当額を取得費として計算することができます。

  

譲渡費用

譲渡費用とは不動産を売却するために支出した費用を言います。具体的には仲介手数料、測量費など土地や建物を売るために掛かった費用や、貸家の売却のために支払った立退料、建物を取り壊して土地を売ったときの取壊し費用、売買契約書の印紙代などです。

  

特別控除額

一定の要件を満たす場合、譲渡所得から特別控除を差し引く特例があります。 例えば、収用などで土地建物を売ったときに5,000万円までの特別控除を受けられる特例や、マイホームを売って譲渡益がある場合に最高3,000万円の特別控除が認められる特例、2009年と2010年に取得した国内にある土地(所有期間5年超)を売ったときに最高1,000万円を特別控除できる特例などです。

 

譲渡所得税の計算

譲渡所得税の税額は課税譲渡所得金額に税率を掛けて計算します。税率は「長期譲渡所得」か「短期譲渡所得」かによって異なります。 「長期譲渡所得」は土地や建物を売った年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合、「短期譲渡所得」は5年以下の場合です。 例えば、2020年中に売った場合、その土地や建物の取得が2014年12月31日以前であれば「長期譲渡所得」に、2015年1月1日以後であれば「短期譲渡所得」になります。

  

長期譲渡所得の税率

所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%

  

短期譲渡所得の税率

所得税30% + 復興特別所得税0.63% + 住民税9%

 

マイホームを売却したときの特例

マイホームを売却した利益に掛かる譲渡所得税には、誰もが必要とする居住用財産という性格を考慮して特例が用意されています。

  

3,000万円特別控除の特例

課税譲渡所得金額を計算するとき、譲渡所得から最高3,000万円が控除されます。長期譲渡所得、短期譲渡所得のどちらに該当する場合でも適用されます。譲渡所得が3,000万円に満たない場合には、その譲渡所得金額が限度となります。

  

軽減税率の特例

マイホームを売ったとき、一定の要件に当てはまれば、長期譲渡所得の税率を通常より下げて計算できます。これを軽減税率の特例と呼んでいます。 要件には次のようなものがあります。

  • 国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること
  • 以前に住んでいた家屋や敷地を売る場合は、住まなくなってから3年を迎える年の12月31日までに売ること
  • 家屋が災害により滅失し、敷地を売る場合には、住まなくなってから3年を迎える年の12月31日までに売ること
  • 売った年の1月1日時点で家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること(取得後にお正月を11回迎えていること)
  • 売った年の前年・前々年に、マイホームを売ったときの軽減税率の特例を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地について、マイホームの買換えや交換の特例など他の特例を受けていないこと(3,000万円特別控除の特例と併用することは可能です)
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対する売却ではないこと

具体的な軽減税率は次の通りです。

6,000万円までの部分に掛かる税率 所得税10% + 復興特別所得税0.21% + 住民税4%
6,000万円を超える部分に掛かる税率 所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%
 

マイホームの買い換えの特例

マイホームを2021年12月31日までに売り、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件に該当すれば、譲渡益への課税を将来に先送り(繰り延べ)できます。これを「特定の居住用財産の買換えの特例」と呼びます。 適用の要件には売却代金が1億円以下、売った年の1月1日現在で所有期間10年超、居住期間10年以上などがあります。 この特例は3,000万円特別控除の特例+軽減税率の特例と重複して受けることはできません。

  

売却したマイホームの価格 < 新しいマイホームの価格

売った金額より買い換えた金額の方が多い場合、売った年については譲渡所得がなかったものとされ、所得税の課税が将来に先送りされます。 先送りされた税金が課されるのは、新しいマイホームを譲渡したときです。

  

売却したマイホームの価格 > 新しいマイホームの価格

マイホームを売った金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行います。

不動産売却をして損失が出てしまった場合に受けられる特例というものもあります。 なお、それぞれ様々な要件がありますのできちんと自身に当てはまっているかはしっかり確認しましょう。

 

マイホームの買い換えで譲渡損失が生じた場合

  

損益通算及び繰越控除の特例

マイホームを2021年12月31日までにまでに売却して損失が生じた場合、一定の要件を満たすものに限り、譲渡損失をその年の給与所得や事業所得などから控除(損益通算)できます。 売却した年の1月1日現在で、所有期間が5年を超えるマイホームが対象です。その年で控除しきれなかった譲渡損失は、売却の翌年以降3年間に繰り越して控除(繰越控除)できます。 この特例が適用されるための主な要件は次の通りです。

  • 国内にある自分が住んでいるマイホームを売ること
  • 以前に住んでいたマイホームを売る場合は、住まなくなってから3年を迎える年の12月31日までに売ること
  • 売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えること
  • 売った年の前年の1月1日から売った年の翌年12月31日までの間に、国内にある床面積50平方メートル以上の新居を取得すること。
  • 新居には、新居を取得した年の翌年12月31日までに住み始めること。または住み始める見込みであること
  • 新居を取得した年の12月31日時点で、新居について償還期間10年以上の住宅ローンがあること
  

繰越控除が適用できない場合

次のような要件に当てはまると、特例を受けられません。

  • 合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合(その年のみ適用できません)
  • 売ったマイホームの敷地の面積が500平方メートルを超える場合(500平方メートルを超える部分についてのみ適用除外)
  

損益通算と繰越控除の両方が適用できない場合

  • 売ったマイホームの売主様と買主様が親子や夫婦など特別の関係にある場合
  • マイホームを売却した年の前年・前々年に次の特例を適用している場合
  • マイホームを売ったときの軽減税率の特例
  • マイホームを売ったときの3,000万円特別控除の特例
  • 特定の居住用財産の買換えの特例
  • 特定の居住用財産の交換の特例
  • マイホームを売却した年またはその年の前年以前3年内(例えば2021年に売却するなら2018年から2021年までの間)に「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算の特例」の適用を受けている場合
  • マイホームを売却した年の前年以前3年内(例えば2021年に売却するなら2018年から2029年までの間)に、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算の特例」を受けている場合
 

住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じた場合

  

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

2021年12月31日までに住宅ローンの残高を下回る価額でマイホームを売却して損失が生じたときに適用される「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」もあります。 一定の要件を満たすものに限って、譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できるという特例です。控除しきれなかった譲渡損失は、売却の年の翌年以降3年間に繰り越して控除(繰越控除)できます。 この特例は新しくマイホームを取得しない場合でも適用できます。

特例を適用するための要件は、マイホームの買い換えで譲渡損失が生じた場合の損益通算及び繰越控除の特例と基本的に同じです。異なる要件としては、次のようなものがあります。

  • 売却したマイホームの売買契約日の前日の時点で、そのマイホームについて償還期限10年以上の住宅ローンの残高があること
 

マイホームではない不動産の譲渡損失が生じた場合

マイホームではない賃貸用マンションなどを個人が売却し、損失が生じた場合はどうでしょうか。

個人が土地や建物の売却で赤字を出した場合、他の土地・建物の売却による所得の黒字から差し引くことができます。しかし、その赤字を給与所得や事業所得から差し引くことはできません。つまり損益通算ができないのです。 2003年までは土地・建物の譲渡損失を給与所得や事業所得など他の所得から控除できましたが、2004年の税制改正によって原則としてできなくなりました。つまり現在は、土地・建物の売却による赤字を他の土地・建物を売却した黒字から差し引き、それでも残った赤字はないものとみなされます。

 

特例を活用して売却益を確保

不動産を売却した場合の税金の特別控除や軽減税率などについてご紹介しました。様々な特例を有効活用することで、税引き後に売主様の元に残る手取り額が変わってきます。ぜひ、信頼できる不動産会社や税理士などの専門家に相談し、売却益をしっかりと確保してください。

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