2014年度 税制改正要望に見る住宅税制の行方
中古住宅の買取再販は質の向上で登録免許税と不動産取得税を非課税に!
「中古住宅流通・リフォーム市場の活性化」では、一定の質の向上が図られた中古住宅を取得した場合の登録免許税および不動産取得税の特例措置を創設するとともに、中古住宅の取得後に耐震改修工事を行う場合、住宅ローン減税などの各種特例措置の適用要件の合理化を図るとしている。具体的には、事業者が中古住宅を買い取り、住宅性能の一定の向上を図るための改修工事を行った後に住宅を再販売する場合、住宅購入者に課される登録免許税および不動産取得税は非課税扱いにするというものだ。(図表2参照)
住宅投資に占めるリフォームの割合は27.9%で欧米諸国と比較して小さい。
耐震基準に満たない中古住宅も取得後の改修工事で特例措置
また耐震基準に適合しない中古住宅を購入したとき、購入後に耐震改修工事を行って入居しても、税制上の各種特例措置を受けられないことから、中古住宅購入後に耐震改修工事を行い入居する場合には、売主からの情報提供を受けた上で、耐震基準への適合が確実であることにつき国土交通大臣による認定を受けた場合、耐震基準に適合した中古住宅を取得した場合と同様に所得税・個人住民税・贈与税・登録免許税・不動産取得税の特例措置の適用を可能とする。
既存建築物の改修投資促進のための特例措置を創設
国土交通省は既存建築物の改修投資促進のための特例措置の創設も要望している。
これは耐震、省エネ、バリアフリー化による改修投資を促進し、性能の抜本的な向上と消費税引上げに伴う大幅な住宅着工戸数の落ち込みによる経済への悪影響を緩和するための要望となっている。主に病院、店舗、旅館やオフィスビル、老人ホーム等を対象にしたものだ。
具体的な施策では、(1)耐震診断が義務付けられている病院、店舗、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物や避難路沿道の建築物等を対象に、耐震改修を促進するための特例措置。(2)省エネ法に基づき、増改築時にエネルギーの効率的利用のための措置の届出が義務付けられている床面積2,000m²以上のオフィスビル等の建築物を対象に、省エネ改修を促進するための特例措置(3)バリフリー法に基づき、増改築時に高齢者、障害者等が円滑に利用できるための基準に適合することが義務付けられている床面積2,000m²以上の建築物(不特定多数の者が利用する病院、店舗等や主に高齢者、障害者等が利用する老人ホーム等)を対象に、バリアフリー改修を促進するための特例措置を挙げている。
これらはいずれも要望段階のものですべてが実現するとは限らない。喫緊の課題とされている老朽化マンションの建替えは法的な側面が多く進捗していないのが実状だ。また中古住宅流通市場では中古住宅が売主から事業者そして事業者から買主(住宅取得者)に渡る際に登録免許税や不動産取得税がそれぞれに課税される。しかし今回の税制改正では事業者が中古住宅を買取り一定の改修工事を行ない再販する場合には、住宅購入者は登録免許税と不動産取得税が非課税扱いとされる。こうした税制改正は住宅市場に与える影響が大きいため、今後の動向に注目したい。
2014年度税制改正の住宅関係の主な要望内容は次ページより。
編集協力 静岡情報通信